薬、手術、放射線…「バセドウ病」治療に3つの選択肢
各治療法のメリット・デメリットを踏まえ、納得のいく選択を
田村知子=フリーランスエディター
甲状腺機能亢進症の1つである「バセドウ病」では、病気の状態や個人差などに応じて、内科(薬物)療法、外科療法、放射線療法の3つの選択肢から治療法を決めていく。それぞれの治療法にはどんなメリット・デメリットがあり、どんな人に適しているのか。日本甲状腺学会認定専門医施設、内分泌・甲状腺外科専門医制度認定施設である金地病院(東京都北区)院長の山田惠美子医師に聞いた。甲状腺疾患の第1回は「季節の変わり目の不調、原因は『甲状腺の病気』かも」、第2回は「7割は『首の腫れ』以外の症状なし! ひそかに進行する『橋本病』にご用心」、第3回は「『甲状腺疾患は女性の病気』は誤解、『バセドウ病』患者の2割は男性」。

金地病院(東京都北区)院長
Q バセドウ病と診断され、甲状腺でのホルモン合成を抑える「抗甲状腺薬」を2年ほど服用していますが、なかなか調子が安定しません。主治医の先生から「結婚や妊娠の予定はありますか?」と聞かれ、当面は予定していないと答えたところ、放射線療法を勧められました。ですが、放射線に対する不安や、将来的に妊娠を考える場合の影響にも心配があり、治療を受ける決心がつきません。放射線療法は安全なのでしょうか。(25歳・女性)
A
放射線療法というと「毎日通院して放射線を当てる」ものという印象があるかもしれませんが、バセドウ病の場合は、「アイソトープ」と呼ばれる放射性ヨウ素を含んだカプセルをたった1回飲むだけで簡単に治療が行えます。手術のように傷跡が残ることもなく、長期的に病状が安定する「永久寛解(かんかい)率」が高いことも分かっています。一方、効果が出るまでに数カ月かかるなどのデメリットもあります。
放射性物質を体内に取り込むことに抵抗があったり、がんや白血病との関連を心配したりする人もいますが、がんや白血病との因果関係を示す科学的な根拠は特になく、安全な治療法として世界中で行われています。ただし、治療を受けるには一定の条件を満たす必要があるので、主治医からよく説明を受けるようにしてください。
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