「甲状腺疾患は女性の病気」は誤解、「バセドウ病」患者の2割は男性
症状に男女差、男性に多い症状は動悸、息切れ、一時的な手足の麻痺
田村知子=フリーランスエディター
甲状腺機能亢進症を起こす代表的な病気が「バセドウ病」。発症しやすいのは20~30歳代で女性に多いが、患者の2割は男性で、1割に満たない橋本病よりも男性の比率は高い。バセドウ病の原因と代表的な症状、中でも眼球突出をはじめとする「バセドウ病眼症」や、男性に特有で一時的に手足が麻痺して動けなくなる「周期性四肢麻痺」について、日本甲状腺学会認定専門医施設、内分泌・甲状腺外科専門医制度認定施設である金地病院(東京都北区)院長の山田惠美子医師に聞いた。甲状腺疾患の第1回は「季節の変わり目の不調、原因は『甲状腺の病気』かも」、第2回は「7割は『首の腫れ』以外の症状なし! ひそかに進行する『橋本病』にご用心」、第4回は「薬、手術、放射線…『バセドウ病』治療に3つの選択肢」で6月23日公開予定。

金地病院(東京都北区)院長
Q 最近、目つきがきつくなって違和感があったので、眼科に行ったところ「バセドウ病」の可能性があるので、甲状腺の専門医を受診するように勧められました。甲状腺の病気は女性に多いと聞きますが、男性でも発症することはあるのでしょうか。(33歳・男性)
A
甲状腺の病気は女性に多いことが知られていますが、「バセドウ病」はほかの甲状腺疾患に比べると男性の比率が高めで、患者の2割は男性です。バセドウ病を発症すると新陳代謝が必要以上に活発になるため、動悸や息切れ、年中暑がり汗が出るといった症状が表れるほか、3割程度の人に眼球が突出する「バセドウ病眼症」が見られます。ご相談者のように、目つきや見え方の変化のため眼科を受診して、バセドウ病を指摘されることもまれではありません。
男性ではこのほか、一時的に手足が麻痺して動かなくなる「周期性四肢麻痺」がみられることがあります。疑わしい症状がある場合は、男女を問わず、早めに甲状腺を専門とする医療機関を受診することをお勧めします。