「進行がんは治らない」は誤解
大腸がんはステージ3の進行がんでも手術で治せる
田村知子=フリーランスエディター
50歳以降から増え始め、加齢とともに増加する「大腸がん」。国立がん研究センターが発表している最新の統計では、2012年に新たに大腸がんと診断された人(罹患数)は男性が7万7365人、女性が5万7210人で、男女を合わせた部位別の罹患数はすべてのがんの中で最多になっている。大腸がんとはどのような病気か、検査や治療はどのように行われるかを、大腸がん診療のエキスパートである東京医科歯科大学大学院消化管外科准教授の安野正道医師に聞いた。
大腸がんの第2回は「大腸がんで死ぬリスクを下げる『毎年の便潜血検査』」で4月17日公開、第3回は「開腹? 腹腔鏡? 進行大腸がんの手術法」で4月19日公開予定。

東京医科歯科大学大学院消化管外科准教授
Q 大腸の直腸がんで、リンパ節転移のあるステージ3と診断されました。早期がんなら治ると思いますが、ステージ3まで進んだがんを治すのは難しいのでしょうか。(54歳・男性)
A 大腸がんのステージ(病期)は、がんの深さ(深達度)、リンパ節転移の程度、ほかの臓器への転移の有無によって、ステージ0、1、2、3、4の5段階に分類されます。がんが大腸の粘膜(内側の表面)にとどまるステージ0と筋肉の層(固有筋層)に達していないステージ1の一部は「早期がん」、固有筋層に達したステージ1の一部とステージ2以降は「進行がん」と大別されます。ステージ3はリンパ節転移のある進行がんですが、リンパ節転移があっても、手術をすれば根治は十分に可能です。
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