寒い冬の「突然死」をどう防ぐ?
心臓発作の危険信号を見逃すな!
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
寒くなると増えてくるのが「突然死」。その60~70%は心臓発作が原因だという。2015年の厚生労働省人口動態統計によると、日本人の1年間の心臓疾患による死亡者数は約20万人と、がんに次いで第2位。中でも狭心症や心筋梗塞など、動脈硬化による虚血性心疾患で突然命を落とす人が増えている。突然死はどうして起こるのか、防ぐ方法はあるのか、心臓疾患治療におけるエキスパートであるニューハート・ワタナベ国際病院(東京都杉並区)総長の渡邊剛医師に聞いた。狭心症・心筋梗塞の第2回は「狭心症・心筋梗塞を発見する方法は?」で1月26日公開、第3回は「狭心症・心筋梗塞の治療はどう選ぶ?」で1月30日公開予定。

ニューハート・ワタナベ国際病院(東京都杉並区) 総長
Q 最近、少し動いただけで息切れがするようになりました。一時的にキュッと胸が痛くなることもあります。日常生活に支障が出るほどではありませんが、元気だった人が突然死するというニュースを聞くと心配になります。心臓発作はどのようなときに起こるものなのでしょうか。(48歳・男性)
A
心臓は他の器官と同様、酸素や栄養を豊富に含む血液を常に必要としています。心臓に酸素と栄養を運ぶのが3本の冠動脈なのですが、その内側に血液中のコレステロールなどが蓄積して部分的に細くなると、血流が悪くなり、胸が痛くなったり息切れがしたりします。冬の寒い日に暖かいレストランで食事をして、外に出た途端、気温差の刺激により血管が詰まり、いきなり発作が起こることがあります。また、真夏の暑い日に汗をかいて脱水状態になり、血液の粘度が高まることでも血管が詰まります。
心筋梗塞はかつては最初の発作で3人に1人が死亡する病気でした。現在では、多くの病院に救急患者のためのCCU(冠動脈集中治療室)が設置され、救急救命技術が向上したことで、亡くなるケースは減少してきましたが、恐ろしい病気であることには変わりないので、胸痛や息切れなど心臓に違和感がある場合、特に40歳以上の人は一度検査をしてもらった方がよいでしょう。