痔を予防する「お尻ケア」のススメ
食事、運動、洗浄でお尻を労わろう
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
痔は生活習慣病。薬や手術で症状が治まっても、生活習慣を改善せずに治療前と同じ生活を送っていたら、再発する可能性は極めて高い。痔の予防には日頃から便秘や下痢にならないように心掛け、お尻のケアをしっかりすることが重要だ。痔にならないための予防法や生活改善法について、痔のエキスパートである岩垂純一診療所(東京都中央区)所長の岩垂(いわだれ)純一医師に聞いた。痔の第1回は「お尻のいぼ、放っておいても大丈夫?」、第2回は「痔の基本治療は、薬と生活改善の2本立て」、第3回は「痔を注射で治す『ALTA療法』の実力は?」。

岩垂純一診療所(東京都中央区)所長、日本臨床肛門病学会理事長
Q 便秘がちで、長い間痔核を放置していましたが、先日、ALTA療法で痔核の治療を行いました。施術後も便秘が解消されたわけではないため、時々下剤を使用しています。日々の生活の中で痔にならないように心掛けたいと思っていますが、気を付けることはありますか。(55歳・男性)
A 痔になる人の多くは生活上に問題があり、治療後も同じ生活をしていると、せっかく治った痔が再発しかねません。痔にならないためには、肛門に負担をかけないライフスタイルを心掛けることが大切です。下剤に頼ると、勢いよく便が出るため、排便時にかえって肛門に負担がかかります。食物繊維をたっぷりとり、朝食後に「便意を生じてからの排便習慣」を身につけるなど、できるだけ日々の生活を通じて便秘体質を改善し、便秘を解消するようにしましょう。ストレスから自律神経のバランスが崩れて便秘になることもありますので、ストレスを解消するために適度な運動もお勧めです。排便後の洗浄も忘れずに行い、お尻を清潔にしてください。