痔を注射で治す「ALTA療法」の実力は?
手術と注射の併用で再発を防ぐ
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
保存療法では十分な治療効果が得られないと判断された場合は、外科的治療が行われる。外科的治療には様々な方法があり、自分のライフスタイルを考慮しながら選択することが可能となった。痔の外科的治療について、肛門科の専門診療を行う岩垂純一診療所(東京都中央区)所長の岩垂(いわだれ)純一医師に聞いた。痔の第1回は「お尻のいぼ、放っておいても大丈夫?」、第2回は「痔の基本治療は、薬と生活改善の2本立て」、第4回は「痔を予防する『お尻ケア』のススメ」で12月29日公開予定。

岩垂純一診療所(東京都中央区)所長、日本臨床肛門病学会理事長
Q 妊娠中から便秘がひどく、出産後、痔になってしまいました。痛みはありませんが、毎回、排便後に肛門から3cmほど、いぼのようなものが出ています。指で押すと戻りますが、最近では、スポーツをしている時などに腹圧がかかると出てくるようになり、下着や洋服にシミが付くこともあります。手術が怖くてまだ病院には行っていません。手術をしないで治す方法はありますか。(33歳・女性)
A
痔核(いぼ痔)も初期の段階であれば、市販薬と生活習慣の改善で治ることもありますが、外に出た痔核が自然に戻らない段階まで進行すると、市販薬ではほとんど効果は期待できません。そのままにして自然に治ることもありません。
進行して薬では治らない段階の痔核に対して、いぼを切除するのではなく薬液を注射して治す方法や、薬液の注射と手術を併用する方法など、患者さんに負担の少ない治療法が開発されています。最近は肛門科の専門病院が増えており、プライバシーにも十分配慮された施設はたくさんあります。以前に比べて女性の患者さんも増え、抵抗なく受診している人も大勢いらっしゃいます。
痔は、処置が遅れるほど治りが悪く、治療も複雑になります。女性医師が診療にあたる施設も増えてきましたので、まずは早急に専門医の診察を受けることをお勧めします。