お尻のいぼ、放っておいても大丈夫?
「見張りいぼ」なら放置してもOK、「いぼ痔」であれば早めに病院へ
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
痔は、20種類以上ある肛門の病気の総称。痔で悩んでいる人は日本人の3人に1人といわれるが、ある海外の調査によると、潜在的に痔がある人は成人の7割と報告されている。痔の中で特に多いのが、痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)と、直腸や肛門が化膿して膿のトンネルができる痔ろう(あな痔)の3つ。これらで全体の約9割を占める。その中で過半数を占める痔核は、男女ともに多い身近な病気だ。痔の治療のエキスパートである岩垂純一診療所(東京都中央区)所長の岩垂(いわだれ)純一医師に、痔の分類と痔核の症状について聞いた。
痔の第2回は「痔の基本治療は、薬と生活改善の2本立て」で12月22日公開、第3回は「痔を注射で治す『ALTA療法』の実力は?」で12月26日公開、第4回は「痔を予防する『お尻ケア』のススメ」で12月29日公開予定。

岩垂純一診療所(東京都中央区)所長、日本臨床肛門病学会理事長
Q 肛門にいぼのようなものができて、気になっています。痛みはありませんが、これは痔でしょうか。このまま放っておいても大丈夫でしょうか。(45歳・女性)
A
肛門にできたいぼは、痔核の可能性があります。痔核は、排便時のいきみなど日常の生活における様々な負担により、肛門内部のクッション部分(弾力組織)や、それを支えている組織(支持組織)が、ゆるんだり膨らんだりして大きくなったもの。出血したり外に飛び出したりする場合もあれば、無症状のこともあります。程度の差はあれ、誰にでもあるといってよいでしょう。直腸にできる痔核を「内痔核」、肛門にできる痔核を「外痔核」と呼んで、区別しています。通常「いぼ痔」と呼ばれるのは、内痔核です。
痔核と間違いやすいものには、切れ痔(裂肛)を何度も繰り返すことで皮膚が盛り上がる「見張りいぼ(*1)」があります。見張りいぼは「スキンタグ」とも呼びます。良くある皮膚のたるみも、痔核と間違えやすい症状です。放置しても構いませんが、気になるようなら専門医に相談しましょう。
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