漢方薬は効く? 統合医療による冷え対策
多方面からのアプローチで冷え性を改善
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
20世紀に目覚ましく発展した西洋医学。科学的根拠に基づいて、病原をピンポイントで取り除くことに長けたアプローチ法だ。一方、慢性疾患や精神的な疾患など、長くつきあっていく病気には、他のアプローチ法も併せて多面的に治療していく姿勢が求められている。西洋医学と東洋医学やその他の医療を組み合わせる統合医療が注目される中、冷えへの多面的なアプローチ法について、東洋医学研究所附属クリニック(東京都渋谷区)自然医療部門担当の川嶋朗医師に聞いた。冷え性の第1回は「この体調不良は『冷えている』せい?」、第2回は「『色』で選ぼう、冷えを改善する食べ物」、第3回は「冷え対策には下半身の集中保温」。

一般財団法人東洋医学研究所附属クリニック(東京都渋谷区)自然医療部門担当、東京有明医療大学保健医療学部 鍼灸学科 教授 医学博士
Q 手足の末端がいつも冷たくて、特に夜はよく眠れません。アレルギーや腰痛もあり、体全体がだるいので、体質改善に良いとされる漢方薬を飲んでみたいと思っています。現在、アレルギーの薬や腰痛の薬を長期的に服用していますが、漢方薬と併用しても大丈夫でしょうか。(55歳・男性)
A
併用しても大丈夫ですが、せっかくの漢方薬の効果が打ち消されてしまうこともあります。鎮痛薬や抗アレルギー薬など、西洋医学で処方されるほとんどの薬は、発熱や痛みを抑えたり、炎症を抑えるなど、一時的に症状を和らげる薬で、根本的に治療しているわけではありません。そもそも、発熱や痛みなどの症状は、体に侵入した菌やウイルス、アレルゲンを撃退し、健康な状態に戻すための防御反応。西洋医学の薬は、あえてそれを抑えこんでいるのです。そして、その多くは交感神経を刺激するため、体を冷やしてしまいます。
また、湿布など体に貼るタイプの消炎鎮痛薬は、温湿布であろうと冷湿布であろうと血流を悪くして体を冷やします。捻挫などの炎症を抑えるために使用するのはよいですが、腰痛や肩こりでの使用は注意が必要です。薬にもよりますが、鎮痛薬など対症療法の薬を長期的に使い続けるのは避けた方がよく、一度止めてみて本当に必要なときだけ使用するようにしてもいいのかもしれません。
なお、薬の飲み合わせの調整や中断にあたっては、自己判断ではなく、主治医に相談してください。
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