運転はできる?会社に言うべき?「てんかん」との上手な付き合い方
周囲に発作の種類、発作時の対応、今後の見通しを伝える
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
「てんかん」と診断されただけで、奈落の底に突き落とされたように落ち込み、すべてのことをあきらめてしまう人がいるかもしれない。けれども、てんかんであっても、「できないこと」や「してはいけないこと」はほとんどなく、てんかんであることを前向きに受け止めて活躍している人たちも多い。てんかんとの上手な付き合い方について、てんかんに詳しい東北大学病院てんかん科科長で教授の中里信和医師に聞いた。てんかんの第1回は「無意識のぼんやり、実は『てんかん』!?」、第2回は「てんかんは薬と手術で改善できる」。

東北大学大学院医学系研究科てんかん学分野 教授
Q 「てんかん」と診断されました。薬を飲んで、今のところ発作は抑えられていますが、いつ発作が出るかと思うと不安です。治療を続けるにはお金もかかるので、仕事は続けたいのですが、大丈夫でしょうか。(35歳・女性)
A
「てんかん」というと、大変な病気というイメージを持つ人が多いかもしれません。もちろん、人によっては合併症などのため、社会生活に制約を受ける場合があります。ですが、てんかんという病気だけを考えると、発作が起きない限り、ほとんどの人は普通に問題なく生活しています。発作があっても、あらかじめ周囲の人に告知して理解を得ることができ、仕事を続けている患者さんは少なくありません。
適切な治療を受けることで、てんかんの発作は抑えられます。てんかんのため通院治療が必要な場合、「自立支援医療制度」による医療費助成が受けられます。自立支援医療制度を利用すると、医療費の自己負担割合が3割から1割に軽減される(沖縄県では無料となる)上、世帯所得によっては自己負担額が一定額を超えたら支払いが不要になります。利用申請の窓口は市町村にありますので、うまく活用しましょう。