骨粗鬆症の治療は「薬剤、食事、運動」が基本
治療を継続するための薬剤選びのコツは?
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
「骨粗鬆症」と診断されたら、食事や運動などの生活指導と薬物療法が始まる。服薬により症状が劇的に良くなったり、効果がすぐに数値で現れるものではないため、服薬開始から1年たつと約半数の患者で飲み忘れが多くなり、5年後にきちんと服用しているのは4分の1に過ぎないという。こうした「処方の不順守」(ノンコンプライアンス)を防ぐためには、患者の症状や副作用、既往症、ライフスタイルを考慮し、本人の希望も取り入れながら処方薬を選ぶことが肝要だという。生活改善法も含めた骨粗鬆症治療のポイントについて、原宿リハビリテーション病院(東京都渋谷区)名誉院長の林泰史医師に聞いた。骨粗鬆症の第1回は「男性も注意! 飲酒、喫煙、高血糖は骨粗鬆症のリスク」、第2回は「骨の強さをどう測る?知っておきたい骨粗鬆症の検査」。

原宿リハビリテーション病院(東京都渋谷区)名誉院長
Q 人間ドックで骨密度を測ったら59%と低く、骨粗鬆症であることが分かったため、薬物療法を始めることになりました。「毎日飲むタイプの薬よりも、週に1回服用するタイプの薬の方が、飲み忘れにくく続けやすい」と医師に勧められています。骨密度を増やす効果は、飲み始めてどのぐらいで出るのでしょうか。毎日飲むタイプの薬の方が、早く効果が出るといったことはありますか。(65歳・男性)
A
骨粗鬆症の治療で最もよく使われているのが、ビスホスホネート製剤という薬で、この飲み薬には毎日飲むタイプと週1回タイプ、月1回タイプの3種類があります。また、別の種類の薬で、半年に1回注射するだけで効果が表れるものもあります。骨粗鬆症の薬物療法は「無理なく続けられる」ことが大事なので、ご自身のライフスタイルや副作用の有無などを勘案し、最も続けやすい薬を選ぶとよいでしょう。
ただ、有効性や安全性という観点からその薬が合っているかどうかは、服用から半年ぐらいしないと分かりません。副作用などで薬が続けにくいと感じた場合は、早めに医師に相談しましょう。
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