骨の強さをどう測る?知っておきたい骨粗鬆症の検査
骨折リスクは骨密度に骨代謝マーカー値などを加味して総合的に診断
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
骨は年齢とともに劣化し、高齢になると骨粗鬆症を発症しやすくなる。すると、気づかないうちに骨折したり、腰痛に悩まされることに。だが、骨粗鬆症が骨折しやすくなる病気だと分かっていても、「まさか自分は関係ない」と思っている人が多く、40歳以上の女性に対して自治体が実施している「骨粗鬆症検診」の受診率は対象者の5%を上回る程度だという。自分の骨の状態を知るために欠かせない「骨粗鬆症の検査」はどのように行われるのか、原宿リハビリテーション病院(東京都渋谷区)名誉院長の林泰史医師に聞いた。骨粗鬆症の第1回は「男性も注意! 飲酒、喫煙、高血糖は骨粗鬆症のリスク」、第3回は「骨粗鬆症の治療は『薬剤、食事、運動』が基本」で11月21日公開予定。

原宿リハビリテーション病院(東京都渋谷区)名誉院長
Q 自治体の健康診断で骨粗鬆症の検査を受けたところ、骨密度が69%で「要精密検査」となってしまいました。3カ月後に整形外科で再検査をしたところ、骨密度は75%に増えていました。この間、これといって特別なことはしていないのですが、骨密度の値はこんなに短期間に変わるものなのでしょうか。骨の強度は、測る場所や測り方によって違うものなのでしょうか。(50歳・女性)
A
骨の強度は骨のカルシウム量と骨の質によって決まります。骨密度検査では、骨の中にカルシウムなどのミネラルがどのくらいあるかを測定します。通常、骨密度検査では、腰椎や、太ももの付け根(大腿骨近位部)の骨を測定します。検査法としては2種類の強度のX線を使うDXA法(デキサ法、二重エネルギーX線吸収測定法)が世界的にはスタンダードな方法ですが、専用の測定装置が必要なので、レントゲンやCTを使って測定することも可能です。最近は、超音波を用いる小型の測定装置も普及しています。
日本では、骨密度の検査結果を「%」で表示します。若くて健康な女性の平均骨密度を100%としたときに、自分の骨密度が何%に相当するかという数値であり、80%未満を要注意、70%以下を骨粗鬆症と診断します。
ただ、骨密度は、測定の方法や測定機器、部位によって数値が変わる場合があります。ご相談者の場合も、自治体検診と整形外科で行った検査では、違う測定装置を使ったのではないでしょうか。骨密度の変化をみるためには、同じ部位を同じ測定器で定期的に計測することが大切です。さらに、骨密度の値だけで判断するのではなく、骨代謝マーカーなど他の検査値や骨折経験、既往症などを考慮して、総合的な骨折リスクを評価してもらうようにしましょう。