歯を抜かずに治す、最新の歯周病治療
歯周組織の再生医療はここまで進んだ
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
進行した歯周病の場合、歯を支える土台となる歯槽骨が溶けてしまい、歯を抜かざるを得なくなることが少なくなかった。しかし、歯が脱落する前に歯周組織の土台を再生させる「歯周組織再生治療」を行うことで、歯を保存することが可能となった。歯周病の外科治療の最新事情について、東京医科歯科大学歯学部附属病院歯周病外来教授の和泉雄一医師に聞いた。歯周病の第1回は「歯周病は『歯を失う』だけでは済まない」、第3回は「歯周病を再発させないカギは『正しい歯磨き』と『定期健診』」で11月10日公開予定。

東京医科歯科大学歯学部附属病院 歯周病外来 教授
Q 歯周病を長い間放置して、歯がぐらぐらしてきたため、歯医者さんに行ったら「かなり進行しているので、歯を抜いてインプラントにするか入れ歯にする方がいいです」と言われました。なんとか歯を残したいのですが、歯を抜かなくてもいい方法はありませんか。(58歳・男性)
A
歯周病が進行し、歯周組織が壊れている場合、以前は歯を抜くしかありませんでした。ですが今では、歯肉を開いて歯根を露出させ細菌を取り除く手術(フラップ手術)に、歯周組織を再生する手術(歯周組織再生治療)を組み合わせて、歯を保存することができるようになりました。
ただ、歯周組織再生治療は、すべての人に適用できるわけではありません。歯周病が重度となり、歯槽骨が大幅に溶けている場合は、治療を行っても歯槽骨が十分に再生せず歯を残せないこともあります。
一度抜いた歯は元に戻せませんので、抜歯は最後の手段と考えるべきです。受診先で提示された治療方針に納得がいかない場合は、歯周病専門医のセカンドオピニオンを受けることをお勧めします。