COPD治療の基本は完全禁煙と適度な運動
薬物療法の選択肢も広がる
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
COPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療の大前提は「禁煙」。これにプラスして適度な運動と食事の改善を実施し、必要に応じて薬物療法を行うことで、症状を抑え、快適な生活を続けることが可能になってきた。重症COPD患者を全国から受け入れている日本医科大学呼吸ケアクリニック所長の木田厚瑞医師に、COPD治療のポイントについて聞いた。COPDの第1回は「COPDは『禁煙すれば治る』ってホント?ウソ?」、第2回は「喘息とCOPDの併発はリスク大」、第4回は「『口すぼめ呼吸』で息苦しさが楽になる!」で10月31日公開予定。

日本医科大学呼吸ケアクリニック 所長
Q 若い頃からたばこを吸っています。ストレスの多い仕事でなかなか止められずにいます。健康診断でCOPDの疑いがあると言われ、何度も禁煙を試みたのですが、習慣になっていてつい吸ってしまいます。たばこを止められない後ろめたさで病院にも行っていません。どうしたら止められますか。(50歳・男性)
A
長年の喫煙者にとって、禁煙はそんなに簡単なことではありません。体に悪いと分かっていてもどうしてもたばこが止められないのは、「ニコチン依存症」という薬物依存症になっているからです。まずは、禁煙外来での禁煙治療をお勧めします。
禁煙外来では、たばこをおいしいと感じないようにしてニコチン切れの症状を軽くする、チャンピックス(一般名:バレニクリン)と言う新しいタイプの飲み薬の他、ニコチンを体内に補充してくれるニコチンパッチ(貼り薬)やニコチンガムなどの禁煙補助薬を使い、「ついつい吸ってしまう」という行動パターンを変えながら、喫煙習慣を断っていきます。COPDの治療を行っている医療機関の大半は、禁煙外来の設置や禁煙指導にも力を入れています。健康保険(公的医療保険)で禁煙治療を受けられる施設も増えているので相談してみましょう。