喘息とCOPDの併発はリスク大
喘息が治っていても要注意!
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は症状を自覚しにくく、症状が出たときにはかなり進行しているという。診断の決め手となるのは肺機能検査。特に喫煙経験者の場合は禁煙していても、既に肺の一部は侵されている可能性が高いため、肺の機能が正常かどうか定期的なチェックが推奨される。COPDの症状や受診のタイミングについて、COPDの専門治療に詳しい日本医科大学呼吸ケアクリニック所長の木田厚瑞医師に聞いた。COPDの第1回は「COPDは『禁煙すれば治る』ってホント?ウソ?」、第3回は「COPD治療の基本は完全禁煙と適度な運動」で10月27日公開、第4回は「『口すぼめ呼吸』で息苦しさが楽になる!」で10月31日公開予定。

日本医科大学呼吸ケアクリニック 所長
Q 子供の頃は喘息持ちでしたが、思春期を過ぎた頃には改善しました。20代、30代と1日1箱程度、たばこを吸っていて、40歳から禁煙をしています。最近、坂道を上るのに息切れがして、時々痰も出るため、喘息が再発したのかと思って病院を受診したところ、COPDと診断されました。喘息とCOPDはどのように違うのでしょうか。(48歳・男性)
A 気管支喘息(以下、喘息)もCOPDも、どちらも気管支が狭くなって空気の通りが悪くなる閉塞性肺機能障害です。喘息の人の10%がCOPDを併発しています。喘息は痰や咳が出て呼吸困難や喘鳴(ぜんめい)があるなどCOPDと症状が似ており見分けることが難しいのですが、胸部X線検査や心電図、肺機能検査などで診断できます。また、喘息では、血液検査でアレルギーに関係するIgE抗体価の高値や、好酸球の増加がしばしば見られます。幼い頃に喘息があった人はCOPDになりやすいことは知られていて、最近では、両方を併せ持つ「ACOS(エイコス)」という病気が増えています。ACOSは通常のCOPDよりも呼吸機能が悪化しやすく、注意が必要です。
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