COPDは「禁煙すれば治る」ってホント?ウソ?
思ったより大きいたばこの代償
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、かつて「慢性気管支炎」や「肺気腫」と呼ばれていた呼吸器の病気の総称。2つの病気が混在していることが多いため、2001年に国際的にCOPDと名称が統一された。患者の大半に喫煙歴があることから、たばこが原因となることが知られているが、高齢化に伴い、世界的に患者が急増し、2030年には死因の第3位になると予想されている。治療が必要な人の90%が未受診・未治療だという。国内のCOPDの現状について、COPD治療の第一人者でもある、日本医科大学呼吸ケアクリニック所長の木田厚瑞医師に聞いた。COPDの第2回は「喘息とCOPDの併発はリスク大」で10月24日公開、第3回は「COPD治療の基本は完全禁煙と適度な運動」で10月27日公開、第4回は「『口すぼめ呼吸』で息苦しさが楽になる!」で10月31日公開予定。

日本医科大学呼吸ケアクリニック 所長
Q 20代からたばこを吸っていて、現在も1日平均15本以上は吸っています。3年前に会社の健康診断で肺気腫の疑いがあると言われましたが、これといって症状もないため、そのままにしています。たばこは体に良くないと分かっていても、なかなか禁煙できません。肺気腫はたばこを吸う人に多い病気だそうですが、たばこを止めれば治りますか。(55歳・男性)
A
以前、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれていた呼吸器疾患は、現在はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)といわれています。このうち肺気腫とは、細い気管支とこれにつながる肺胞が広い範囲にわたり壊れる病気で、中年以降の男性に多く発症し喫煙との関係が深いとされています。
肺気腫の可能性があると言われてからも、喫煙を続けているとのことですが、もし、肺気腫であれば進行している可能性は極めて高いです。たばこによって生じた肺のダメージは、禁煙したからといって治るものではありませんが、これ以上悪化させないために、専門の病院を受診して今すぐにでも禁煙をお勧めします。