外反母趾を悪化させない靴選びのポイント
足や体が痛くなる前に自分の足に合った靴を探す
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
靴が外反母趾の発症や悪化に大きく関与していることは分かっているが、外反母趾だけでなく、膝痛、腰痛、骨盤のゆがみ、姿勢など、合わない靴を履くことは体の至るところに影響を及ぼす。靴を替えることで、足や体の悩みの多くが改善できるのだという。本当に履き心地がいい靴に出合うには、まずは自分の足の形や特徴をよく知ることが大切だ。正しい靴選びについて、日本靴医学会の評議員を務める東京女子医科大学整形外科客員教授の野口昌彦医師に聞いた。外反母趾の第1回は「外反母趾は本当にハイヒールが原因か」、第3回は「知っておきたい外反母趾の治し方」で9月22日公開予定。

東京女子医科大学 整形外科 客員教授
Q かかとの高い靴を履いてきたせいか、外反母趾がひどくなってきたので、かかとの低い大き目の靴を履くようにしていますが、合う靴が限られて靴を選ぶにも一苦労です。外反母趾の場合に靴はどのように選べばよいでしょうか。(45歳・女性)
A 外反母趾の人はほとんど、自分の足のサイズより1~2サイズ大きい靴を履いています。「窮屈な靴=足に悪い靴」と思い込んでいるようです。けれども、靴がブカブカであるほど、足が靴の中で動き、余分な力や筋肉を使います。歩き方のバランスも崩れて外反母趾を悪化させるだけでなく、体に歪みも生じます。また大半の市販の靴は「かかとからつま先までの長さ」(足長)で選ぶことが一般的ですが、足の親指の付け根から小指の付け根までの横幅(足幅)や、親指と小指の付け根を横切る位置で測った足の周囲の長さ(足囲)も重要です。正しく足のサイズを測り、ジャストサイズの靴を選びましょう。オーダーメードのインソール(靴の中敷き)は、靴で足を矯正するには効果的です。