外反母趾は本当にハイヒールが原因か
高齢化に伴い、重症患者が急増中
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
足のトラブルの代表ともいわれる「外反母趾(がいはんぼし)」。患者の9割は女性で、圧倒的に女性に多い病気である。屋内で靴を履く習慣のある欧米では患者数が多く、日本も生活習慣の欧米化により靴を履く機会が増えたことで、近年、外反母趾の治療を受ける人が増えている。高齢になって筋肉や関節、靭帯が弱ることで、一気に重症化することも少なくないという。外反母趾はなぜ起こるのか、東京女子医科大学整形外科客員教授の野口昌彦医師に聞いた。外反母趾の第2回は「外反母趾を悪化させない靴選びのポイント」で9月18日公開、第3回は「知っておきたい外反母趾の治し方」で9月22日公開予定。

東京女子医科大学 整形外科 客員教授
Q 最近、足の親指の付け根が外に飛び出して、靴が履きづらくなってきました。外反母趾だと思いますが、かかとの高い靴は若いころから苦手で、めったに履きません。特に靴を変えたわけでもないのに、いきなり外反母趾になることもあるのでしょうか。(60歳・女性)
A 外反母趾の危険因子は、遺伝、足の形、靴、加齢など、いろいろな報告があります。女性のハイヒール使用による発症率は高いのですが、ヒールが高くなくても、関節や筋力が弱い人は合わない靴を履き続けることで外反母趾になることもあります。特に高齢になると、筋肉や関節、あるいは骨と骨を繋ぐ靭帯が弱くなり、低い靴を履いていても外反母趾の有病率が高くなります。膝痛などで足に重心をかける位置が変わり、不安定になったことが原因になることもあります。
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