「危険な飛蚊症」の見分け方
視野を漂う「糸くず状の物体」の正体は?
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
視野の中で蚊が飛んでいるかのように見えることから、その名が付いた「飛蚊症(ひぶんしょう)」。老化現象の一つでもあり、命にかかわる問題ではないからと、気になりながらもそのままにしている人も多い。ただ、飛蚊症に加えて閃光が見えたり、視野のゆがみがある場合は、重大な眼病の前兆である可能性があり、放置していてはいけないという。飛蚊症はなぜ起きるのか、どのような場合に医療機関を受診すべきかについて、西葛西・井上眼科病院(東京都江戸川区)院長の井上順治医師に聞いた。飛蚊症の第2回は「すぐに治療を!飛蚊症の裏に潜む『網膜裂孔・剥離』」で8月18日公開、第3回は「気になる飛蚊症をなんとかしたい!」で8月21日公開予定。

西葛西・井上眼科病院(東京都江戸川区) 院長
Q 最近、まるで目に虫が入ったように、黒い点が目の前をチラチラと動き、気になっています。眼球に傷でもついているのでしょうか。痛みはありませんが、病院に行った方がよいでしょうか。(60歳・女性)
A
黒い点が目の前をチラチラと動くという症状からは、「飛蚊症(ひぶんしょう)」が疑われます。飛蚊症は、視野に糸くずやゴミのようなものが見えるという症状を指します。これは、網膜の前にあるゼリー状の硝子体(しょうしたい)に、浮遊物が生じ、その影が網膜に映っていると考えられています。
飛蚊症の大半は、主として加齢により生じる生理的なもので、そのままにしておいても心配はありません。しかし、失明につながる重篤な病気の前兆である場合もありますので、眼科で検査をすることをお勧めします。