治療薬は「みぞおち痛タイプ」か「胃もたれタイプ」かで使い分ける
「胃もたれタイプ」に効く新薬が登場
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
機能性ディスペプシアの症状は、大きく「みぞおちの痛み」と「胃もたれ」に分けられ、どちらの症状が主体なのかで薬の選択が変わる。みぞおち痛タイプには胃酸を抑える薬、胃もたれタイプには胃の動きを促進する薬が適しており、胃もたれタイプには2013年に新薬が登場した。的確な薬を選んでもらうために大事なのが、医師に正しく症状を伝え、効果をみながら調節してもらうこと。消化管疾患の治療薬に詳しい、慶應義塾大学医学部医学教育統轄センター教授の鈴木秀和医師に、治療薬の最新動向について聞いた。機能性ディスペプシアの第1回は「原因不明の胃の不調『機能性ディスペプシア』とは」、第2回は「長引く胃の不調、治療の第一歩は『説明と保証』から」。

慶應義塾大学医学部医学教育統轄センター 教授
Q 機能性ディスペプシアと診断され、「今はとてもいい薬があるから」と、アコファイドという薬を処方されました。1週間飲んだのですが、ほとんど効果が感じられません。これまで飲んでいた市販薬と、一緒に飲んでもよいですか。(42歳・男性)
A
アコチアミド(商品名:アコファイド)は、世界初の機能性ディスペプシア治療薬として、2013年に発売された新薬です。消化管の運動を促進する作用があり、機能性ディスペプシアの症状のうち、胃もたれや早期飽満感(*1)の改善に有効です。即効性はないため、最低2週間は飲み続けてから効果を判断します。勝手に服用を中止したり、自己判断で市販薬などと一緒に飲むと、何が効いたのかが分からなくなってしまいます。
なお、医師に症状がうまく伝わっていないと、症状に合わない薬が処方されてしまうこともあります。薬の効果が不十分なときは、我慢せず医師に相談し、どんな症状が辛いか、薬を飲んでみて効果はどうなのかを、きちんと伝えることをお勧めします。