じっとしていられない「むずむず脚症候群」とは
熟睡できず生活にも支障を来す
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
脚の内部にムシが這うような異常な感覚を覚える「むずむず脚症候群(別名:レストレスレッグス症候群)」。日本人の2~5%、特に中高年の女性に多く見られる傾向がある。症状は人によってさまざまで、少しずつ知名度が高まってきたといえども、適切な治療を受けることができずにドクターショッピングを繰り返し、苦しんでいる人も多い。睡眠全般にかかわる治療を専門とする東京慈恵会医科大学葛飾医療センター院長の伊藤洋医師に、むずむず脚症候群の症状や原因について聞いた。むずむず脚症候群の第2回は「実は難しい『むずむず脚症候群』専門医選び」で7月26日公開、第3回は「つらい『むずむず脚』の9割は薬で治る」で7月28日公開予定。

東京慈恵会医科大学葛飾医療センター院長 精神神経科
Q 時々、夜中に脚の内側がむずがゆくなりピクピク動いたりして目が覚めます。湿疹やかぶれのようなものはありません。脚を動かすことで少し楽になりますが、落ち着いて眠れません。夫に相談したら「脚がかゆくなることくらい、誰にでもある。気にし過ぎではないか」と言われて我慢していますが、熟睡できないため体の疲れが取れません。原因は何でしょうか。(50歳・女性)
A その症状は「むずむず脚症候群」かもしれません。脚の内部がむずがゆく感じるといった、漠然とした不快な症状が表れる病気です。原因はまだよく分かっていませんが、遺伝のほか、鉄の欠乏、脳内のドーパミン神経機能障害などが関与しているともいわれています。十分な睡眠が取れずに不眠症になる人も多く、疲労やストレスで日常生活に大きな支障を来します。