「うつむき姿勢」が全身の不調の元凶
頭を支える首の「こり」が頭痛、めまい、うつ、疲労感の原因に
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
重たい頭を支え続けている首の筋肉は、人間の体の中で一番こりやすい部位といわれている。とりわけ、一番負担がかかるのが、パソコンやスマートフォンを操作するときの「うつむき姿勢」だ。この姿勢により、首の後ろ側の筋肉に、直立時の3倍もの重量負荷がかかり、首の筋肉に異常を来す。これがこりだけでなく、様々な病気の原因となっているという。「首こり」はどうして起こるかや、自分の「首こり度」のチェック方法などについて、首こり治療の第一人者である東京脳神経センター(東京都港区)理事長の松井孝嘉医師に聞いた。首こりの第2回は「のぼせ、うつ病、頭痛が『首こり』を治せば解消される!?」で7月19日公開、第3回は「首こりの予防はマッサージよりリラクゼーション」で7月21日公開予定。

東京脳神経センター(東京都港区)理事長、松井病院(香川県観音寺市)理事長
Q コンピューター関係の仕事をしています。2年ほど前から、慢性的な首から肩にかけてのこりに悩んでいます。時々頭痛や吐き気も伴い、夜もぐっすり眠れた気がしないため、疲れやすく、なんとなく体の調子も良くありません。会社には出勤していますが、特に午後からは眠気やだるさ、ほてり、倦怠感などでつらくなります。マッサージをしてもなかなか良くなりません。こりを治す方法はありますか。(45歳・男性)
A
成人の平均的な頭の重さは約6キロあり、パソコン(特にノートパソコン)を使うときの「うつむき姿勢」では、重たい頭が前方へ倒れてしまわないよう、首の後ろの筋肉は大変な仕事を連続してしなければならず休めません。筋肉は伸びた時が緊張状態、縮んだ時が弛緩状態なのですが、血流に乗って酸素と栄養が運ばれるのは縮んで緩んだ時です。うつむき姿勢で静止し、作業を続けている時、首の筋肉はずっと緊張した状態を続けており、酸素や栄養の不足状態が続き首の異常が起こるのです。短い時間であれば筋肉を緩めれば正常に戻りますが、あるところを超えてしまうと筋肉は固くなって「こり」を発生させます。
まずは仕事中に適度に休んで首を動かすなどし、同じ姿勢を続けないようにしましょう。それでもこりが続き、つらさが解消されない場合は、医療機関で診察を受け、低周波治療などを受けるとよいでしょう。