長引く痛みの克服につながる、ペインクリニックでの治療
認知行動療法など複数の治療法を組み合わせて痛みを緩和
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
神経痛(神経障害性疼痛)の多くは、薬だけで痛みを完全に無くすことは難しい。ただ、「痛み」は体に伝える感覚として脳が発信する情報の一つ。痛みを感じるメカニズムに働きかける、様々な治療法を組み合わせることで、難治性の痛みの多くがコントロールできるようになってきた。ペインクリニックで行われる最前線の診療について、東京慈恵会医科大学附属病院ペインクリニック科診療部長の北原雅樹医師に聞いた。神経痛の第1回は「その痛み、本当に神経痛?」、第2回は「神経痛の薬、効果は?副作用は?」。

東京慈恵会医科大学附属病院 ペインクリニック診療部長
Q かかりつけのクリニックで帯状疱疹後神経痛と診断されて3年になります。薬を処方されて飲んでいますが、なかなか痛みが治まりません。ペインクリニックを受診してみようと思いますが、どのような診療が行われるのでしょうか。(50歳・女性)
A ペインクリニックは、他の医療機関で治療が困難とされた急性や慢性の痛みに対して、多方面から治療を行う診療部門です。痛みを抑えるための神経ブロック注射を行うイメージが強いかもしれませんが、本来は痛みの専門家として、診察や検査で痛みの原因を探し出すことから診療を行っています。痛みを起こしている根本的な原因が分かれば、一人ひとりの症状に合わせて薬物療法、心理療法、リハビリテーション、鍼灸など、複数の治療法を組み合わせながら効果的に痛みを抑えていきます。また、必要に応じて専門の診療科と連携することもあります。