熱中症対策に必携!「経口補水液」で脱水からスピード回復
塩分とブドウ糖の働きにより小腸経由で水分を補給
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
脱水症の治療のため、病院や診療所で使われてきた経口補水液が一般家庭にも広がっている。脱水症は熱中症の初期症状でもあり、応急処置は時間との戦い。体を回復させるために速やかに水分補給できる経口補水液があれば安心だ。経口補水液の有効性や正しい使い方について、済生会横浜市東部病院(横浜市鶴見区)周術期支援センター長の谷口英喜医師に聞いた。熱中症の第1回は「熱中症予防に塩分補給は必要?」、第2回は「熱中症の背後にひそむ『脱水症』のサインを見逃すな!」。

済生会横浜市東部病院(横浜市鶴見区)周術期支援センター長
Q 最近、ドラッグストアなどで経口補水液をよく見かけます。熱中症などで脱水状態になった時に飲むとよいとされていますが、普通の水を飲むのではいけませんか。(58歳・男性)
A 体液は水分と塩分からできています。体の中の体液が減少した状態が脱水症なのですが、体液が不足した状態から回復させるためには、単に水を飲むのではだめで、水分と塩分を同時に補給する必要があります。塩分を含まない水は、すぐに尿や便になって体外に出てしまい、体に保持できません。また、水ばかりを飲むことによって体液が薄まるため、水中毒(希釈性低ナトリウム血症)となり、けいれんや意識障害を起こす危険性もあります。脱水症が軽症の場合は水を飲むだけでも大丈夫なことが多いのですが、重症の場合は、塩分やブドウ糖など、飲んだ水を体内に素早く吸収し、保持しやすくする成分が適切に配合された経口補水液を飲むことをお勧めします。