熱中症の背後に潜む「脱水症」のサインを見逃すな!
脱水症の一歩手前、「かくれ脱水」の段階で対策を
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
頭痛、だるさ、異常な眠気、吐き気、食欲不振、不眠など、夏の体調不良の原因となることが多いのが脱水症。発汗や水分摂取不足などにより体内の水分が減少した状態を指し、重症化すると発汗による体温調節ができなくなって、熱中症から死に至るケースもある。子どもや高齢者は脱水状態にあることを自分では気づきにくいため、周囲が特に気を配らなければならない。脱水症への対策について、熱中症の啓発活動を行っている済生会横浜市東部病院(横浜市鶴見区)周術期支援センター長の谷口英喜医師に聞いた。熱中症の第1回は「熱中症予防に塩分補給は必要?」、第3回は「熱中症対策に必携!『経口補水液』で脱水からスピード回復」で7月7日公開予定。

済生会横浜市東部病院(横浜市鶴見区)周術期支援センター長
Q 90歳の母は日常生活で頻繁に外出したり体を動かすことがないため、汗をかくこともなく、あまり水分をとりません。脱水症が心配なのですが、喉が渇いていなければ水分をとらせる必要はありませんか。(70歳・女性)
A ヒトの水分(体液)は筋肉にたまっています。高齢になると、筋肉が少なくなり、体の中に体液をたくさんためられない上、感覚も衰えてくるので喉の渇きにも気付きにくくなります。また、飲んだり食べたりする量も減ってきますので、こまめに水分を補給できず、脱水症になりやすいのです。高齢の方の場合、本人が喉の渇きを自覚していなくても、1日に決められた量の水分を、時間を決めて意識的にとらせるようにした方がよいと思います。