手術でワキガ臭を完全に消す
医療機関で受けられるワキガ治療とは
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
ワキガを根本的に治したい場合、一般に「手術療法」が行われる。ワキガのにおいの悩みは、ワキガ臭の発生源であるアポクリン腺を残さずすべて摘出することで完全に解決できる。同時にエクリン腺や毛根も取り除くため、多汗やわき毛についても解消される。手術には、大きく分けて、患部を見ながら施術する「直視下手術法」と機械でオートマティックに施術する「非直視下手術法」がある。手術方法の選択は、体臭の重症度、悩みの深刻度、どこまで治したいかという要求水準、体への負担、治療期間などを総合的に考慮して決まる。ワキガの手術はどのように選んだらよいか、五味クリニック(東京都新宿区)院長の五味常明医師に聞いた。ワキガ・多汗症の第1回は「汗かき体質は治せる!?『異常な汗』への対処法」、第2回は「ワキガの強さは耳あかで分かる」、第4回は「汗のにおいを抑えるセルフケア」で6月30日公開予定。

五味クリニック(東京都新宿区)院長
Q ワキガがあり、今まで制汗スプレーを使っていましたが、皮膚が弱いので時々かぶれます。また、暑くなるとわきの下の汗が洋服にまでにじみ、においを完全には抑えられないこともあるので、医療機関で手術などの治療を受けることを検討しています。医療機関で受けられるワキガ治療にはどのような方法がありますか。会社を休まないといけませんか。(38歳・女性)
A
医療機関で受ける治療法を選択するために、まず大切なことは、ワキガの程度の正確な判定です。強度のワキガであり、ワキガ臭を完全にかつ永続的になくしたいなら、手術をお勧めします。一方、ワキガが軽度から中等度で、ワキガ臭がある程度まで減少すればよいなら、細い電極針をわき毛の毛穴に刺して毛乳頭やアポクリン腺、皮脂腺を破壊する電気凝固法が適しています。においよりも汗が気になるなら、無毒化したボツリヌス菌を注射して汗腺の活動を抑えるボトックス療法がよい適応となります。
手術には、原因となるアポクリン腺を直視下で確認しながら摘出する方法と、切開口から非直視下で摘出する方法があります。直視下手術法の場合、アポクリン腺を完全に摘出することでワキガのニオイを永続的に消失させるだけでなく、汗も7割~8割程度減少させることが可能です。
ただ、ケロイド体質の人の場合には、手術の傷が残ることがあります。手術は局所麻酔で行われ、術中の痛みはありませんが、患部が植皮と同様な状態となりますので、術後は「タイオーバー」というガーゼを当てて固定します。両わきを一度に施術する場合には、仕事は数日、休んだ方がよいでしょう。片方ずつ2回に分けて手術する場合は、腕の動きの少ない仕事なら休む必要はありません。
当院では、手術の効果を患者さん自身で確認するためにも、片方ずつ手術を行うことを勧めています。