汗かき体質は治せる!?「異常な汗」への対処法
自律神経をコントロールして「精神性発汗」を抑える
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
夏に向かって気になる大量の汗。暑いときや運動したときに出る汗は、体温調節をするために必要な生理現象だが、手や足の裏、額など、特定の部位に異常に汗をかくのは「精神性発汗」と呼ばれ、エスカレートすると日常生活や仕事に支障を来すこともある。汗を多くかいてしまう「多汗」のメカニズムや対策について、多汗症治療のパイオニアである五味クリニック(東京都新宿区)院長の五味常明医師に聞いた。ワキガ・多汗症の第2回は「ワキガの強さは耳あかで分かる」で6月26日公開、第3回は「手術でワキガ臭を完全に消す」で6月28日公開、第4回は「汗のにおいを抑えるセルフケア」で6月30日公開予定。

五味クリニック(東京都新宿区)院長
Q 子どものころから汗かきで、夏になると髪の毛がベタベタになるぐらい、滝のように汗が流れます。人前に出て緊張すると特にひどく、臭いも気になります。汗かき体質は治せるのでしょうか。(35歳・男性)
A 汗を分泌するエクリン腺は人間のほぼ全身に満遍なくありますが、密度が濃い所と薄い所があり、顔面や頭部は、比較的エクリン腺の多い場所です。顔面や頭部の汗に対しては、わきの下に使う制汗剤は使用できず、手術や神経ブロックのような治療法も開発されていません。緊張時の異常な汗は、心の不安を取り除くことで改善することが多く、そのためには精神療法、自律神経をコントロールする自律訓練法、呼吸法、運動療法、薬物療法など様々な治療法があります。太っていると汗をかきやすいので、肥満の人であればダイエットも有効です。これらの治療法は、どれも根気と時間がかかります。