日本人は口臭がきつい!?
気付かないうちにスメハラ加害者に
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
欧米では常識である「オーラルケア(口腔衛生)」への意識が、日本でも急速に高まりつつある。その一方で、2015年に行われた調査(*1)では、在日外国人の72%が日本人の口臭にがっかりした経験があると回答したという。この調査では、日本人の約8割が口臭の原因でもある歯周病といわれるにも関わらず、約9割が「自分は歯周病ではない」と回答し、自覚のなさが浮き彫りになった。スメルハラスメント(スメハラ、臭いによる嫌がらせ)の加害者にならないためには、どうすればよいのだろうか。オーラルケア後進国である日本人の実態や口臭の原因について、口臭医療のパイオニアである、ほんだ歯科(大阪府東大阪市)院長で歯科医師の本田俊一氏に聞いた。口臭の第2回は「最前線の口臭診療が受けられる『口臭外来』」で5月29日公開、第3回は「口臭のセルフケアは『唾液』がポイント!」で5月31日公開予定。

歯科医師 ほんだ歯科(大阪府東大阪市)院長
Q 自分の口が臭います。毎日、歯を一生懸命磨いていますが、時間が経つとまた臭います。口をすすぐ洗口液を使ったり、時々ガムを噛むようにしていますが、一時しのぎに過ぎず、日常的に臭うようで気になります。何かの病気なのでしょうか。口臭はなくせますか。(35歳・男性)
A
健康な人は通常、歯科的に口の中をきれいにしておけば、他人に不快な思いをさせる口臭を発することはほとんどありません。けれども、オーラルケア(口腔衛生)が不十分だったり、何らかの病気にかかっていると、「病的口臭」を生じることがあります。病的口臭の原因となるのは、口腔内や鼻腔内の常在菌や病原菌、代謝による老廃物、臓器の疾患による病的代謝産物です。
健康であっても食事や生活習慣、体調の変化に応じて「生理的口臭」が発生することはありますが、心身ともに健康であれば、不快な臭いがする不良なガスが口腔、鼻腔、臓器で作られることはありません。急に口臭がきつくなったとしたら、病気の前兆の可能性があります。病的な口臭であれば原因となる病気を見つけて治療する、病気ではなく生理的な口臭であれば、ケアの方法を変えたり、口腔の緊張を取り除くなどのセルフコントロールをすることで、口臭をなくすことができます。