こりや痛みを効果的に抑える「注射療法」とは
神経ブロック注射、トリガーポイント注射などを症状に応じて使い分ける
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
マッサージや温熱療法、鍼灸、リハビリテーションなど、さまざまな保存療法をやってみたが肩こりが改善しない。痛みのために仕事や生活にも支障が出てきた─。そんなときには、こっている部分に直接作用することで効果的に痛みを抑えられる「注射療法」を試してみてもよいかもしれない。肩こりに効く注射療法にはいくつかの種類があり、痛む場所や痛みの程度によって使い分ける。肩こりなどへの注射療法を積極的に行っている、いがらし整形外科スパインクリニック(東京都渋谷区)院長の五十嵐環医師に、注射療法の種類と効果について聞いた。肩こりの第1回は「つらい肩こり、原因は『トリガーポイント』にある?」、第3回は「注射による『筋膜リリース』で肩こり治療」で5月8日公開予定。

いがらし整形外科スパインクリニック(東京都渋谷区)院長
Q 長い間、定期的にマッサージや鍼灸に通っていますが、あまり効果が感じられないようになってきました。友人から注射療法の話を聞いて、一度試してみたいと思っていますが、効果はどのぐらい持続するのでしょうか。注射は効果がなくなったら何度も繰り返し打つ必要があるのでしょうか。(55歳・男性)
A
肩こりの注射療法は、痛みに関連した場所に直接、局所麻酔薬などを注射することで、一時的に神経の興奮状態を抑えて症状を軽減する治療法です。神経ブロック注射、トリガーポイント注射などがあります。効果や持続時間には個人差があり、注射した直後にすぐ痛みが治まる人もいれば、あとからゆっくり効いてくる人もいます。1回の注射で数カ月間、痛みが治まることもあります。
急性の痛みには速やかに効く場合が多くみられますが、慢性の場合は週に数回注射して、徐々に痛みを軽減していきます。内服薬やマッサージ、ストレッチや筋力強化の運動療法を併用することで、痛みのために動かすことができなかった筋肉や組織の血流を改善し、筋肉を正常な状態に戻すことが注射療法の目的となります。
この記事の概要
