C型肝炎ウイルスを撃退する「特効薬」DAAsの実力は
副作用が少なく「ほぼ100%治る」が、耐性ウイルスが課題に
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
C型肝炎の治療は、抗ウイルス療法でC型肝炎ウイルス(HCV)を排除することが第一目標となる。以前は注射でインターフェロン製剤を投与する「インターフェロン療法」が主流だったが、有効性はC型肝炎ウイルスの遺伝子型やウイルスの量に左右され、またインターフェロン製剤の副作用のため治療を続けられない人も多かった。ところが、2011年にインターフェロンと併用する抗ウイルス薬として直接作用型抗ウイルス薬(DAAs:ディエーエーズ)が開発され、2014年以降はDAAsのみを使いインターフェロン製剤を併用しない「インターフェロンフリー療法」が可能になって、C型肝炎の治療法は大きく進化した。体に負担が少ない確実な治療法であるインターフェロンフリー療法と、同療法に用いる薬の特徴について、武蔵野赤十字病院(東京都武蔵野市)副院長の泉並木医師に聞いた。C型肝炎の第1回は「C型肝炎ウイルス、半数は感染源不明」、第2回は「こんなに変わった!C型肝炎の治療戦略」。

武蔵野赤十字病院(東京都武蔵野市) 副院長 消化器部長
Q 8年前に1b型のC型肝炎だと分かり、インターフェロン療法を受けましたが、ウイルスは排除できませんでした。つらい治療を頑張ったのに良い結果が出なかったため、もう積極的な治療はしなくてもよいと思っていたのですが、最近、主治医から「インターフェロンフリー療法を試してはどうか」と勧められています。今からでも治療すれば治せるのでしょうか。(61歳・男性)
A 2014年から急速にインターフェロンを用いない抗ウイルス療法(インターフェロンフリー療法)が普及し、ウイルス肝炎治療の主流になってきています。1b型の人はインターフェロンが効きにくかったのですが、インターフェロンフリー療法で使う薬は、副作用も少なく効果も期待できる待望の薬です。インターフェロンフリー療法では複数の経口薬を組み合わせて使うのですが、現在、1型(1a型と1b型)には、3通りの組み合わせが使えます。治療にあたっては、肝臓専門医に受診して、腎臓、心臓の機能、合併症、薬の飲み合わせ、薬が効かなくなる多剤耐性の有無を必ず調べてから、治療を始めるようにしてください。
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