ストレス性?腸の変形? 過敏性腸症候群の原因別治療法
市販の下痢止めや便秘薬でコントロールできない場合は専門外来へ
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
過敏性腸症候群の原因や症状は人によって様々。それによって治療法も変わってくる。市販薬を試してみても十分に症状がコントロールできない場合は、医療機関の専門外来を受診し、原因を特定した上で治療を受けることが大切だ。市販薬の位置付けや原因に応じた治療法について、数多くの過敏性腸症候群患者の大腸内視鏡検査を行ってきた、国立病院機構久里浜医療センター内視鏡センター長の水上健医師に聞いた。過敏性腸症候群の第1回は「便秘も下痢も引き起こす『過敏性腸症候群』とは」、第3回は「『ねじれ腸』『落下腸』による便秘に効くマッサージ」で4月12日公開予定。

独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター 内視鏡センター長
Q 下痢を繰り返していて、特に電車に乗るときは不安です。市販の下痢止めを飲むとピタッと治まるので、それでしのいでいるのですが、いつも不安です。病院で薬をもらった方がよいでしょうか。(38歳・男性)
A
過敏性腸症候群の症状はあっても、「いざとなったら薬が効く」という安心感で、症状が出にくくなることもよくあります。ストレスから来る過敏性腸症候群の場合、薬をうまく使う中で、病気から「卒業」できるという一面もあります。下痢や便秘の症状は「ストレスや体質のせいだから仕方がない」という、いい意味でのあきらめが「悟り」となり、症状が改善されるのです。
今は処方薬でもよいお薬が出ていますので、市販薬でうまく症状が治まらなかったり、効果がないときは医療機関を受診してみてもよいと思います。処方薬を「いざとなったら薬がある」というお守りとして持っていることで、気がついたら治っていたという人もたくさんいます。
なお、発熱や血便、体重減少がある場合や、40歳以上の方は、腸の炎症や腫瘍が症状を起こしている可能性が否定できないので、一度医療機関を受診してください。