便秘も下痢も引き起こす「過敏性腸症候群」とは
ストレスが一因だが、腸の形や体質が原因となることも
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛を伴う排便障害を特徴とする疾患。排便障害として女性は便秘、男性は下痢を起こすことが多く、発症にはストレスの影響が大きいとされる。人口の10~15%に生じ、消化器内科受診者の約3割を占めるほど身近な不調の一つでありながら、社会生活に支障を来すほどの深刻なケースもある。原因別に3つのタイプに分かれるため、確実に治療するためには、自分のタイプを知ってそれに応じた治療やケアを行うことが重要だ。国立病院機構久里浜医療センターでIBS・便秘外来を担当する内視鏡センター部長の水上健医師に、IBSの症状と原因について聞いた。
過敏性腸症候群の第2回は「ストレス性?腸の変形? 過敏性腸症候群の原因別治療法」で4月10日公開、第3回は「『ねじれ腸』『落下腸』による便秘に効くマッサージ」で4月12日公開予定。

独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター 内視鏡センター長
Q 子どもの頃から、緊張するとお腹が痛くなります。便秘もひどく、いつもお腹が張っている感覚があります。病院の検査ではこれといって異常がないということで、整腸剤が処方されましたが、腹痛と便秘の症状は続いています。いつ腹痛が起こるかと思うと心配で、仕事にも差し障っているのですが、原因は何でしょうか。(28歳・女性)
A 過敏性腸症候群(IBS)は、胃腸に潰瘍や炎症などの異常が見られないにもかかわらず、腹痛や腹部の不快感、便通異常が続く状態の総称です。3つのタイプがあり、それぞれ原因が違います。1つ目は「ストレス」によるもの、2つ目は「腸の変形(腸管形態異常)」によるものです。さらに、胆汁性下痢症という生まれ持った「体質」による便通異常もあります。これらの要因が絡み合っているケースもあります。それぞれのタイプによって治療法が異なりますので、自分のタイプを知ることが大切です。
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