1000万人が悩んでいる排尿トラブル「過活動膀胱」
突然の尿意で何度もトイレに。治療のカギは正しい診断
稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
排尿トラブルとして最近よく耳にする「過活動(かかつどう)膀胱」。主たる症状は「尿意を感じたときに我慢できない」という膀胱の障害だ。年齢とともに増加し、40歳以上では約1000万人(*1)が症状を抱えると推定されている。「年のせいだから仕方ない」「病院に行くのが恥ずかしい」という理由で、症状があっても病院を受診せずにいる人も多い。重要なのは、正しく診断を受けて適切な治療を行うこと。過活動膀胱の診断法について、過活動膀胱に詳しい東京大学医学部泌尿器科教授の本間之夫医師に聞いた。過活動膀胱の第2回は「過活動膀胱を即効で治すなら薬物療法」で3月10日公開、第3回は「骨盤底筋を鍛えて過活動膀胱とうまく付き合う」で3月13日公開予定。

東京大学医学部 泌尿器科教授
Q 最近、トイレが近くなり、しかも尿意を感じると我慢することがとても難しくなりました。そのくせ、トイレに行っても少量しか出ないことが多いのです。近所の内科に相談したところ、膀胱炎だと言われ、薬を処方されて服用したのですが効果はなく、仕事にも支障が出ています。きちんと治したいのですが、何科を受診すればよいのでしょうか。(43歳・女性)
A 膀胱炎でもトイレが近くなることはありますが、痛みなどがないことからは「過活動(かかつどう)膀胱」が疑われます。しかし、正しい診断をするためには、尿検査や超音波での残尿量検査など、専門的な検査が必要とされます。異なる疾患でも似たような症状を示すことが多いため、症状だけでは判断できません。診断を誤ると、前立腺や膀胱のがんを見逃したり、間違った治療を行ってかえって悪化させたりすることもあります。まずは正しい診断のために、泌尿器科を受診することをお勧めします。