「多焦点眼内レンズ」で老眼鏡なしの生活に
近視、遠視や乱視、老眼にも対応。眼内レンズ選びで生活が変わる
稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
白内障の手術では、水晶体を取り出した後に挿入する人工の水晶体「眼内レンズ」の進歩も目覚ましい。多焦点レンズには、近方と遠方に焦点が合うだけでなく中間の距離にも焦点を合わせられるものが出てきた。素材、色、形などの選択肢も広がり、選ぶレンズによっては術前よりも快適に見えるだけでなく、新たな病気の予防効果も期待できるという。最新の眼内レンズ事情やその選び方について、三井記念病院眼科部長の赤星隆幸医師に聞いた。白内障の第1回は「ここをチェック!白内障手術の選び方」、第2回は「既往症がある場合、医療機関をどう選ぶ?」。

三井記念病院眼科部長、日本橋白内障クリニック・秋葉原アイクリニック、春日部杉浦眼科委託執刀医
Q 白内障の手術を受けることになりました。最近の眼内レンズは乱視や老眼も改善できるとのことですが、どのような種類のレンズがあるのでしょうか。(68歳・男性)
A 眼内レンズは新しいタイプのものが次々と開発されています。患者さんに乱視があるか、手術後にどの距離をどのように見たいのかというライフスタイルによって、選ぶレンズが変わってきます。レンズには大きく分けて「単焦点レンズ」と「多焦点レンズ」の2つがあり、単焦点レンズには近方がよく見えるものと遠方がよく見えるものがあります。多焦点レンズは、いわゆる遠近両用レンズで、最近は遠方と近方に加え中間の距離も見える三重焦点の多焦点レンズも出てきました。それに加え、それぞれに乱視を改善する「トーリックレンズ」があります。素材も、かつては硬いプラスチック製でしたが、現在では軟らかいアクリル製のレンズが主流です。形状や色など、さまざまな眼内レンズがありますが、医療機関によってはすべてを扱っていない場合もありますので、医師に希望を伝えてみましょう。
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