前立腺がん検査のメリットとデメリット
PSA検査は何歳から受ける? 検査値はどう見る?
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
前立腺がんの有無を調べる「PSA検査」。多くの自治体ではがん検診の一つとして受けることができ、受診率が高まりつつある。一方、患者数が特に多く「前立腺がん大国」ともいわれるアメリカでは、PSA検査についてのデメリットが大きく報じられ、受診率は減少傾向にある。PSA検査を受けるタイミング、メリット・デメリット、PSA値の見方について、前立腺がんのエキスパートである東京慈恵会医科大学附属病院の泌尿器科診療部長、頴川(えがわ)晋医師に聞いた。第1回は「前立腺がんが『男性で最も多いがん』に」、第3回は「多岐にわたる『前立腺がん治療』の選び方」で3月6日公開予定。

東京慈恵会医科大学附属病院 泌尿器科診療部長
Q 50代から毎年PSA検査を受けています。年々数値が上がり、今年は100ng/mLを超えてしまいました。けれども、針生検(※1)をしてもがんは見つかりませんでした。結果には安心しましたが、やはり将来がんになる可能性は高いのではないかという心配が続いています。(60歳・男性)
A 前立腺がんの針生検の診断は非常に難しく、腫瘍があったとしても、腫瘍のある部分に針が届かず採取できないことがあります。質問者のようにPSA値が3桁の場合は、前立腺がんを発症している可能性が極めて高いため、針生検の手技などに問題がある可能性もあります。セカンドオピニオンを受けるなど、何らかの形で再検査することをお勧めします。