前立腺がんが「男性で最も多いがん」に
急増の背景に社会の高齢化と検査の普及
聞き手:稲垣麻里子=医療ジャーナリスト
日本人には少ないと言われていた前立腺がんが、右肩上がりに増えている。国立がん研究センターの「がん統計予測」では、新たに前立腺がんと診断される患者数が、男性のがんでは2014年の3位から2015年にはトップとなった。2020年には、年間死亡者数が現在の2~3倍になるという予測もある。ここにきて急増しているのはなぜか、前立腺がん罹患の現状について、前立腺がんのエキスパートである東京慈恵会医科大学附属病院の泌尿器科診療部長、頴川(えがわ)晋医師に聞いた。前立腺がんの第2回は「前立腺がん検査のメリットとデメリット」で3月3日公開、第3回は「多岐にわたる『前立腺がん治療』の選び方」で3月6日公開予定。

東京慈恵会医科大学附属病院 泌尿器科診療部長
Q 75歳の父が前立腺がんになり、前立腺の全摘手術を受けました。手術は無事終わりましたが、自分も前立腺がんになる確率が高いのではないかと心配です。前立腺がんは遺伝するのでしょうか。(45歳・男性)
A 前立腺がんの発病には遺伝的要素がかかわっていると言われ、血縁者のうち一親等(父、息子)、または二親等(祖父、兄弟、孫)に前立腺がんの人がいれば、発病する確率が2~3倍上がるという報告もあります。前立腺がんは一般に50代以降の発病が多いのですが、遺伝性の前立腺がんの場合は、40代で発見されることもあります。近親者に前立腺がんの人がいる場合は、40代から検診を受けることをお勧めします。
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