麦門冬湯
ばくもんどうとう
咳(せき)や気管支炎によく用いられる漢方薬。麦門冬(ばくもんどう)、半夏(はんげ)、人参(にんじん=高麗ニンジン)、大棗(たいそう=ナツメ)、甘草(かんぞう)など、6種類の生薬から成り立っている。漢方では、カゼなどの感染症やアレルギー性鼻炎を、寒けが強い「風寒(ふうかん)」、のどの痛みや腫れなど炎症が強い「風熱(ふうねつ)」、下痢や吐き気など胃腸系の症状が現れる「風湿(ふうしつ)」、空咳(からぜき)やのどの乾燥など、乾燥による症状が強い「風燥(ふうそう)」に分けており、それぞれ用いる薬が異なる。麦門冬湯は、「風燥」に向く漢方薬。発汗作用のある生薬は配合されていないため、カゼの初期には用いない。カゼの後期の空咳や激しい咳き込み、痰(たん)が切れにくいといった症状に適している。