「記憶喪失型の肥満」は、心が満たされていない
最後に、自分と対話することの重要性は、こんな言い訳をしている人にもぜひお伝えしたい。
「いつの間にか、ポテチが空になっているんです」
スナック菓子や菓子パンなどを手元に置き、テレビなどを見ながら無意識のうちにむしゃむしゃ食べる。ふと気がつくと袋が空になっている…。こんな習慣にはまっている人はかなり多いようだ。伊達さんはこんなふうにして太った人を「記憶喪失型の肥満」と呼んでいる。
「気づいたらもうないというのは、気を失って食べているのと一緒。とても怖いことです」
「食べることは幸せになること」だと伊達さんは言う。おいしいものをほおばり、しっかり噛みしめて味わって、心が満たされる。日々のストレスも飛んでいくだろう。そんな充足感は、「今私は、おいしいものを食べている」という意識があってこそ、実感できるものだ。
「無意識や惰性で食べても、心は満たされません。本当にもったいない。そういう人は、今の自分を満たすおいしいものは何なのかを、自分に問いかけてみましょう」
心を満たす食べ物のことを、伊達さんは「心の栄養」と表現する。典型的なのはスイーツだろう。チョコケーキ、パフェ、ドーナツ…。幸せを実感したい気持ちが高まったとき、「コレ!」という“切り札”をしっかりと持っている人は、惰性で食べる習慣に陥りにくいという。
なお、自分が何を口にしているかを意識化する方法としては、数年前に話題になったレコーディングダイエットがある。食べたものをすべて記録する、あの方法だ。書くのが面倒ならばスマートフォン(スマホ)で写真を撮るだけでもいい。そんなやり方を試してみるのもいいだろう。
東京国際クリニック 管理栄養士・日本抗加齢医学会認定指導士
