自律神経ケアで「浮動性めまい」を改善! 平衡感覚を取り戻す体操も実践
体がフワフワする「浮動性めまい」の症状と対策を聞く【後編】
柳本操=ライター
体がフワフワする、ふらふらして立っていられない、という症状が出る「浮動性めまい」。慢性化するケースも多い。浮動性めまいの治療に取り組む川越耳科学クリニック院長の坂田英明さんは、「浮動性めまいの原因の1つに『自律神経バランスの乱れ』があります。食生活などの生活習慣の見直しで改善することも多くあります」と話す。後編となる今回は、浮動性めまい症状を改善に導く方法について坂田さんに聞いていく。
浮動性めまい患者は「自律神経バランス」が乱れている人が多かった
足元がフワフワして不安定で立っていられない――このような症状に悩まされる「浮動性めまい」は、目の前がぐるぐる回る「回転性めまい」の実に2倍の患者数がいるという。前回は、「浮動性めまい」とはどんなものかについて川越耳科学クリニック院長の坂田英明さんに教えていただいた。

原因が多岐にわたることから治療が難しいとされている浮動性めまい。坂田さんは、浮動性めまいの原因の1つである「自律神経バランスの乱れ」に着目。日常で簡単に実践できる自律神経ケアを患者に指導している。今回は、坂田さんが勧める浮動性めまい改善のためのセルフケア方法を聞いていく。
先生は浮動性めまいの患者さんに生活習慣や体操の指導を行い、症状の改善効果が得られているということを著書『フワフワするめまいは食事でよくなる』(マキノ出版)で紹介されています。今回は、治療現場でどのような方法を指導されているのかを教えていただけますか。
坂田さん 前回もお話ししましたが、浮動性めまいの原因の1つに「自律神経の障害」があります。
当院では浮動性めまいを訴える患者さんに、原因を調べるために、聴力検査やX線検査、眼球運動検査や重心動揺検査、自律神経機能検査などを行います。さらに、めまいについての問診票(DHI)で、めまいが日常生活にどのような支障をきたしているかを評価します。また、不安とうつのセルフチェックシートなどに回答してもらい、浮動性めまいの背景に不安やうつが隠れていないかも探ります。そうして一つ一つ、原因をつぶしながら治療を行っていくわけです。
そうする中で、多数の患者さんを診るうちに、浮動性めまいに悩む患者さんの多くが自律神経のバランスを崩していることがわかったのです。
クリニックで行われている「自律神経機能検査」とはどのような検査ですか。
坂田さん 以下の3つのタイミングで血圧と脈拍を測ります。
- ① 5分横になってから、その状態で1回目の測定
- ② 起立直後に2回目の測定
- ③ 起立して10~15分後に3回目の測定
まず、①と②を比較して血圧と脈拍の変動があるかを見ます。続いて、②と③を比較してまた血圧と脈拍の変動があるかを見ます。この差を見て総合的に判定します。立ち上がったときに極端に血圧が上がったり下がったりする、あるいは脈が乱れる、というのは浮動性めまいの方の特徴的症状で、患者さんのほとんどが自律神経調節障害に当てはまりました。