筋トレ効果を高め、体内時計を若返らせるには、運動はいつがベスト?
第3回 脂肪燃焼から高血圧対策まで、時間栄養学の活用法を一挙に紹介!
荒川直樹=科学ライター
「いつ、何を、どう食べるか」によって、体重を効率よく落としたり、不調を改善したり、病気の予防に役立てようとする「時間栄養学」は、長年にわたる体内時計についての研究の成果だ。だがその体内時計も年を取ると次第に老化してくるため、不調を招きやすくなる。そこで、体内時計を若返らせる食事や運動について、時間栄養学の第一人者である早稲田大学理工学術院の柴田重信教授に教えていただこう。
『肥満と老化を予防する「時間栄養学」』 特集の内容
- 第1回「いつ食べるか」でこんなに変わる! 肥満・老化を防ぐ時間栄養学
- 第2回体内時計を整え、筋肉を増やし、血糖値や血圧も抑える食事のコツ
- 第3回筋トレ効果を高め、体内時計を若返らせるには、運動はいつがベスト?←今回

体内時計が老化すると、不調も起きやすくなる
私たちの体のなかには、「どの臓器が」「いつ」「どのように働くか」をぎっしり書き込んだスケジュール表がある。それを管理しているのが「体内時計」だ。
体内時計がしっかり働いていれば、1日のなかでの体温、ホルモン分泌、エネルギー消費などの波が整い、運動や知的活動などのパフォーマンスを最大にしてくれる。そして、食事のとり方によって体内時計をしっかりと働かせ、また体のリズムに合った食事をとることで栄養素を効果的に無駄なく活用するのが「時間栄養学」だ。
例えば、時計の針がお昼の12時を指す少し前にお腹が「グーッ」と鳴ったりする、いわゆる「腹時計」は、体の調子がいいサインともいえる。時間栄養学の第一人者である早稲田大学理工学術院の柴田重信教授は、「体がメリハリの利いたリズムを刻んでいるときには、予知行動リズムという生理現象が起きます。腹時計もその1つです」と解説する。
このときの体は「準備万端。食べたものをしっかり消化吸収しますよ」という合図を出しているのだ。このタイミングで昼食を食べれば、とった糖質や脂肪も効率よくエネルギーに変えてくれるというわけだ。
前回、時間栄養学の研究を活用した朝食、昼食、間食、夕食のとり方について、具体的に紹介した。
だが、問題なのは、体内時計も年齢とともに老化し、メリハリがなくなっていくことだ。すると、余計な脂肪をためやすくなったり、血圧が高くなったりする。中高年になって進む肥満、高血圧や糖尿病などの生活習慣病も、体内時計の加齢変化と無関係ではない。
柴田教授は、「目が不自由で光を感じにくい人は、朝に日光を浴びて体内時計をリセットするということができません。そのため、体内時計が乱れがちになるのですが、食事や運動の管理をしっかりすることで体内時計を整え、体調を管理することが可能です。同様に、年を取って体内時計が乱れがちになってきた場合も、食事や運動によって改善できるのです」と指摘する。