寝つきの悪さや中途覚醒がつらい! 快眠のために取り入れたい11の工夫
第3回 良い睡眠を得るために今日からすべきこと
伊藤和弘=ライター
“良い睡眠”を得るには、量、質、タイミングの3つが整う必要がある。よく耳にする「深い眠りが得られれば、短時間睡眠でも問題ない」というのは誤解だ。不規則な睡眠時間が思わぬ病気につながる恐れもある。青山・表参道睡眠ストレスクリニック院長の中村真樹氏に、“睡眠の新常識”を解説していただく本特集。最終回となる今回は「実践編」として、これまで挙げてきた新常識をベースに、“良い睡眠”を得るための具体的対策をお伝えしよう。
『ぐっすり眠るための8つの新常識』 特集の内容
- 第1回「睡眠は90分単位」は誤解、「浅い睡眠」も大事!…知っておきたい8つの新常識
- 第2回睡眠時間が「6時間」では足りないこれだけの理由
- 第3回寝つきの悪さや中途覚醒がつらい! 快眠のために取り入れたい11の工夫←今回
量、質、タイミング…どれが欠けても良い睡眠は得られない
「睡眠は6時間で十分」「90分単位だとすっきり目覚められる」「量よりも質。深く眠ることが大切」――。睡眠をめぐって巷で耳にする、こうした俗説の“真実”や、睡眠不足が健康にもたらすさまざまな負の影響について、本特集の第1回、第2回で詳しく紹介してきた。米国の国立睡眠財団が推奨する「7時間睡眠」の重要性も、よくお分かりいただけたと思う。
睡眠障害を専門とする青山・表参道睡眠ストレスクリニック院長の中村真樹氏は、次のように話す。
「“良い睡眠”を得るためには、量、質、タイミングの3つの条件が必要です。十分な睡眠時間(量)、安定した眠り(質)、規則正しさ(タイミング)。この中のどれが欠けても“良い睡眠”にはなりません」(図1)

睡眠時間を削れば深い眠りの割合は増えるが、人体には浅い睡眠も欠かせない。深い眠りも浅い眠りもバランスよく手に入れるためには、まとまった長さの睡眠時間が不可欠だ。また、睡眠の長さは十分でも、日によって時間帯が大きくずれると、社会的時差ボケ(ソーシャル・ジェットラグ)を招き、さまざまな不調の原因となる。つまり、「毎日、ほぼ決まった時間に布団に入り、十分な長さ(目標は7時間以上)の安定した睡眠をとること」が、健康長寿の実現のためには重要と言える。
とはいえ、世の中、好きで睡眠時間を削っている人ばかりではない。中には「眠りたくても眠れない」という人もいるだろう。夜、布団に入ればすんなり眠りに落ちて、朝までぐっすり眠ってさわやかに目が覚める――そんな人はむしろ少数派かもしれない。
そこで今回は、寝つきの悪さや、夜中に目覚めてしまう中途覚醒など、「眠りたいのに眠れない」という悩みを抱える人のために、“良い睡眠”を得るにはどうすればいいのか、具体的な対策をお伝えしていこう。
病気が原因で睡眠の質が悪くなることも
夜、よく眠れない「不眠」の症状は、大きく4種類に分けられる。布団に入ってからなかなか寝つけない「入眠障害」、途中で何度か目が覚めてしまう「中途覚醒」、必要以上に早く目が覚めてしまい、そこから眠れなくなる「早朝覚醒」、睡眠時間は十分なはずなのに満足感が得られない「熟眠障害」だ。

これらの悩みを解決するためにまずすべきことはなんだろうか。