老化を予防し、認知機能もアップさせるトレーニングを名医が提案
第3回 速遅歩き、コグニサイズ運動、パタカラ運動でいつまでもハツラツに!
二村高史=フリーライター
80歳、90歳になっても好きなことをして健康に過ごすためには、足腰を支える「筋力」に加え、「心肺機能」や「認知機能」も必要になってくる。そこで、諏訪中央病院の名誉院長、鎌田實さんに、自身が考案した誰でも簡単に続けられる「ズボラ筋トレ」以外に、心肺機能や持久力を向上させる「速遅(はやおそ)歩き」や、認知機能を改善できる「コグニサイズ運動」などを教えていただこう。
『鎌田式ズボラ筋トレ』 特集の内容
- 第1回「ズボラ筋トレ」で三日坊主にサラバ! 下半身をラクラク鍛える
- 第2回おなかを引っ込め、姿勢を若返らせる「ズボラ筋トレ」はこれ!
- 第3回老化を予防し、認知機能もアップさせるトレーニングを名医が提案←今回

これまで2回に分けて、80歳、90歳になっても好きなことをして健康に生きるための筋力を維持する「鎌田式ズボラ筋トレ」を紹介してきた。
長野県にある諏訪中央病院の名誉院長、鎌田實さんは、ピンピン健康に生きて、痛みや苦しみとは無縁で、ひらりとあの世に行く「ピンピンひらり」を提唱する(詳しくは第1回参照)。その実現のためには、老化の予防や認知機能のアップなども欠かせない。
そこで最終回となる今回は、筋トレ以外の大切な運動や栄養のとり方について紹介しよう。
「速遅歩き」で血圧や血糖値を正常に保つ
鎌田さんは、地域医療に力を入れ、長野県を「長寿県」にした立役者の1人だ。そんな鎌田さんが筋トレとともに健康指導で推奨しているのが有酸素運動である「速遅(はやおそ)歩き」。速歩きと遅歩きを3分ごとに交互に行う、いわゆるインターバル速歩の一種だ。
有酸素運動では、ウォーキングやジョギングなどが代表例だが、体脂肪を燃焼させる効果に加え、心肺機能の向上が期待できる。高齢になっても自分の足で歩いて好きなところに行き、好きなことをするには、心肺機能の向上は欠かせない。
そこで鎌田さんがお勧めしているのが、この速遅歩きだ。運動不足の人でも無理なく続けられ、通常のウォーキングよりも負荷を高めることができる。
速遅歩きは、心肺機能が向上し、持久力を高められるだけでなく、血圧や血糖値にも良い影響があるので、生活習慣病の対策にもなる。
なお、健康のために歩くなら「1日1万歩」にこだわる人がいるが、鎌田さんによれば1日の歩数は最大8000歩、高齢者は4000歩でいいという。歩数が多すぎると、膝関節などへの負担が大きくなる恐れがあるので注意が必要だ。