おなかを引っ込め、姿勢を若返らせる「ズボラ筋トレ」はこれ!
第2回 腹筋、背筋、体幹を鍛えると、背筋が伸びて気持ちも前向きに
二村高史=フリーライター
コロナ禍で運動不足による体力低下や、足腰の衰えを感じている人にお勧めなのが、諏訪中央病院の名誉院長、鎌田實さんが考案した「ズボラ筋トレ」だ。簡単にできて続けやすいズボラ筋トレのうち、姿勢を若返らせるために上半身や体幹を鍛えられるメニューを紹介しよう。
『鎌田式ズボラ筋トレ』 特集の内容
- 第1回「ズボラ筋トレ」で三日坊主にサラバ! 下半身をラクラク鍛える
- 第2回おなかを引っ込め、姿勢を若返らせる「ズボラ筋トレ」はこれ!←今回
- 第3回老化を予防し、認知機能もアップさせるトレーニングを名医が提案

転倒防止には上半身と下半身のバランスも大事
前回、コロナ禍で運動不足による体力低下や足腰の衰えの不安を抱える中高年にお勧めの「ズボラ筋トレ」を、長野県にある諏訪中央病院の名誉院長、鎌田實さんに教えていただいた。
「自分の人生を面白くできるかどうかは、お金よりも筋肉です」と鎌田さんは話す。筋力が衰え、足腰が弱くなると、コロナが収束しても行きたいところに行けず、したいことができなくなってしまう。それでは人生が楽しめない、というわけだ。
前回は、主に下半身の筋肉を対象にした「ズボラ筋トレ」で、日常生活で転びにくい体づくりを目指した。しかし、転倒防止には下半身を鍛えるだけでなく、上半身と下半身のバランスも大切だ。そこで今回は、主に上半身と体幹を鍛えるズボラ筋トレを3つ紹介しよう。
転倒防止だけでなく、よい姿勢を保つためにも、上半身の腹筋と背筋を鍛えることは欠かせない。姿勢がよくなれば、見た目が若々しくなるだけでなく、気持ちも前向きになる。
また、上半身の筋力で見逃されがちなのが握力だ。握力もまた、放っておけば加齢とともに低下する。実は、要介護予備群ともいえる「フレイル」と握力には大きな関係があると鎌田さんは言う。
「フレイルのサインは握力に表れます。タオルをしっかり絞ったつもりなのに、水がよく切れなくなったということはないでしょうか。また、ペットボトルや瓶詰めのふたが開けにくくなった、ドアノブが回しにくくなったというのも、握力の低下を示しています」(鎌田さん)
さらに、握力の低下は寿命に関係するという研究結果もある。九州大学が福岡県久山町の住民を対象に数十年にわたって実施している大規模な疫学調査によれば、握力が低下すると寿命が短くなるという結果が発表されている(*1)。
しかし、握力さえ鍛えれば寿命が延びるかといえば、そうではない。握力の低下は、全身の筋力低下を示すバロメーターと考えるとよいだろう。握力が低下したと感じたら、そのまま放っておくとフレイルに直結する恐れがある。鎌田さんが提唱するズボラ筋トレで全身の筋肉を鍛えてフレイルを予防しよう。