「ズボラ筋トレ」で三日坊主にサラバ! 下半身をラクラク鍛える
第1回 長野県で健康長寿を実現した名医が考案
二村高史=フリーライター
長引くコロナ禍で運動不足になり、歩く力の衰えを感じている人が多い。このままでは、心身の活力が低下する「フレイル」のリスクが高まり、やがて寝たきりへとつながってしまう恐れもある。そうならないよう下半身の筋トレでしっかり足腰を鍛えたいところだが、どうしても長続きしない……という人にお勧めなのが、諏訪中央病院の名誉院長、鎌田實さんが考案した「ズボラ筋トレ」だ。73歳でも冬は毎日のようにスキーを楽しむという鎌田さんに指南していただこう。
『鎌田式ズボラ筋トレ』 特集の内容
- 第1回「ズボラ筋トレ」で三日坊主にサラバ! 下半身をラクラク鍛える←今回
- 第2回おなかを引っ込め、姿勢を若返らせる「ズボラ筋トレ」はこれ!
- 第3回老化を予防し、認知機能もアップさせるトレーニングを名医が提案

加齢による筋力低下に、コロナ禍が拍車をかけている
なかなか終わりが見えない新型コロナウイルス感染症の流行が、中高年の心身の健康に大きな影響を及ぼしている。年を取るほどコロナによる重症化のリスクが高いとされ、外出の頻度が大きく減ったという中高年も多い。その結果、運動不足による体力低下や、足腰の衰えを訴える人が増えているのだ。
長野県にある諏訪中央病院の名誉院長、鎌田實さんはこう指摘する。
「ただでさえ、筋肉の量は40歳ごろから年間1%程度ずつ減っていきます。そのまま何もせず放置していれば、加齢とともに心身の活力が低下する『フレイル』になるリスクが高まります。それに加えて、最近ではコロナによる外出自粛の影響が重なって、筋力低下に拍車がかかっています。フレイルは、元気な状態と要介護状態の中間のようなもの。つまり、コロナ禍では『要介護予備群』の中高年が増加しつつあるのです」(鎌田さん)
病気やけがで入院して、寝たきりになったり運動をしない状態が続くと、下半身の筋肉量は瞬く間に減ってしまう。それに近い状況が、コロナ禍で起きているのだ。
実際、久しぶりに外出して、以前のようなスピードで歩けなかったり、歩くとすぐに疲れてしまうと感じている人もいるかもしれない。そうなると外出するのがおっくうになり、さらに運動不足になるという悪循環が起きてしまう。
筋力が衰えると、足腰が弱くなり、コロナが収束しても行きたいところに行けず、したいことができなくなってしまう。それでは人生が楽しめない、と鎌田さんは話す。
「自分の人生を面白くできるかどうかは、お金よりも筋肉です。もとより日本の高齢者は圧倒的に筋力が足りないのですが、コロナ禍によってさらに状況が悪化してしまいました。やりたいことをやって人生を楽しみ、できる限り要介護状態になることを先延ばしにするには、筋力をつけるしかありません」(鎌田さん)
人生を楽しむための「ズボラ筋トレ」
鎌田さんは、東京医科歯科大学を卒業後、長野県茅野市の諏訪中央病院に赴任。赤字病院を再生するとともに、30代で同病院の病院長になってからは、地域とつながる病院を目指し、当時はまだ珍しかった在宅ケアを充実させたり、患者の食生活の改善に力を入れたりすることで、「地域包括ケア」の先駆けとなった。