地中海食、日本食を比べて判明! 血管若返りの2大食品は「大豆と魚」
冒険病理学者・家森幸男さんに聞く、健康長寿を実現する食事(第2回)
柳本操=ライター
予防栄養学のプロフェッショナルで、“冒険”病理学者としても知られる、京都大学名誉教授の家森幸男さんは、世界25カ国61地域を巡り、地域に根付いた食事と健康に関するエビデンスを明らかにしてきた。世界で集めた調査結果をもとに現在も「健康長寿を維持する長寿食」をテーマに研究を続ける家森さんは、「日本人は大豆と魚から多大な恩恵を受けている」と話す。後編では、大規模調査で明らかになった大豆・魚と心筋梗塞との関係、また、日本食とともに長寿食として知られる地中海食と日本食との共通点についても聞いていく。
『世界の長寿食の秘密』 特集の内容
- 第1回世界中の長寿食を調べた医師がたどり着いた、健康長寿食の秘密
- 第2回地中海食、日本食を比べて判明! 血管若返りの2大食品は「大豆と魚」←今回
大豆の摂取の多い長寿地域で「イソフラボン」の効果を見いだす
京都大学名誉教授の家森幸男さんが研究してきた長寿食研究について聞く本特集では、前回、脳卒中の原因を突き止めるべく1985年に開始した世界五大陸をまたぐ大規模研究(循環器疾患と栄養・国際共同研究「WHO CARDIAC Study」)について語っていただいた。
「世界の長寿食を調べ、その後も研究を続けてきた結果、日本人の健康長寿は大豆と魚に支えられていること、そして、日本人の長寿を支える日本食は、良いことずくめというわけではなく課題もあることがはっきりと見えてきました」と家森さん。後編の今回は、日本食の良さと課題、そして長寿食として名高い地中海食と日本食を比較研究してわかったことなどを教えていただこう。
脳卒中予防という目標を掲げて世界25カ国61地域を巡り、住民の24時間尿を分析することによって食事と病気の関係について明らかにしてきた家森さんには、前回、世界の長寿地域に共通していたポイントとして以下のことを教えていただきました。
- 食塩をとりすぎていない
- 肉は脂を落としたり蒸し焼きにしたりして、動物性脂肪をとりすぎない
- 大豆や魚からたんぱく質をとっている
- 野菜や果物をふんだんにとることにより、食塩の害を防ぐカリウムをとっている
食塩は高血圧のもと、そして動物性脂肪のとりすぎは動脈硬化につながるため、過剰摂取は控えるべきということですね。さらに私たちが健やかに年を重ねるためにどんな食生活を心がけたらいいかについて、研究結果をもとに教えていただけますか。
家森さん まず、お伝えしたいのは「大豆と魚」、この両者が世界トップの日本人の長寿を支えているということです。研究でわかった長寿に関係する栄養成分は、大豆の「イソフラボン」、そして魚介類の「タウリン」でした。