「心臓」「がん」「脳」 人間ドックで注目の最新検査はどう受ける?
第3回 まだまだ知りたい人間ドックのオプション検査の受け方
荒川直樹=科学ライター
さまざまな検査を一度に受けることができ、自らの健康チェックと病気の早期発見に威力を発揮する人間ドック。本特集では、自分の年齢や病気のリスクに合わせた検査項目を上手に選ぶことで、より確実な健康管理につなげられることを紹介してきた。第3回となる今回は、第2回までに紹介しきれなかった「心臓」「がん」「脳」関連で注目のオプション検査と、自分に合った検診施設の選び方について紹介する。
『最新版・人間ドックの上手な受け方』 特集の内容
- 第1回今こそ人間ドックへ! 費用対効果の高い「お勧め検査」7選
- 第2回40代、50代…年代別に人間ドックで受けたいオプション検査とは?
- 第3回「心臓」「がん」「脳」 人間ドックで注目の最新検査はどう受ける?←今回
特別な検査、最新の検査を受けるメリットやデメリットは
人間ドックは、検査項目などが一律で決められている企業や自治体の集団健診(検診)とは異なり、自分の年齢や性別、疾病リスクなどに合った検査を選べることが最大の特徴だ。日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニックの畑啓介院長は「人間ドックの目的は、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病を早期に見つけ、10年後、20年後を見据えた生活改善を提案すること、そして、命にかかわるがんや心臓病など、すぐに対処が必要な異変を発見することの2つがあります」と話す。
そのため、人によっては、より精密なオプション検査が重要となることもある。例えば、肥満や高血圧などで心臓に負担をかけていたり、心臓の働きに隠れた異常があったりすると、長い時間をかけて心臓は疲弊し、心不全などを起こすリスクが高まる。そうした心臓の異変を早期に発見するためにあるのが心エコー(心臓超音波)検査や血液検査のBNP(ビーエヌピー)という項目だ。
近親者にくも膜下出血で倒れた人がいれば、脳ドックで脳の血管の状態を調べ、リスクをあらかじめ知っておきたいと思うかもしれない。がんは心配だけど内視鏡検査はどうしても受けたくない、一度にいろいろながんのリスクを知りたい、という人には、血液、尿、唾液でがんの可能性を調べる検査も登場している。
今回は、これら「心臓」「がん」「脳」に関する注目のオプション検査について、重点的に解説していく。併せて、人間ドックの施設を選ぶ際のポイントについても畑院長に聞いていこう。
重点ポイント1 一生働き続ける心臓の変化を見逃さない
心臓の働きや構造を調べる心エコー検査
心不全の危険因子である「高血圧」「糖尿病」「動脈硬化」などがある人、「階段を上るのが以前よりもつらくなった」「最近疲れやすい」といった漠然とした不調を感じている人は、心エコー検査やBNPの測定を検討してみよう。
心エコーは、心臓の形状や動きを皮膚の上から超音波で調べる検査で、主に心不全や心筋症、弁膜症などの発見に威力を発揮する。現在最も広く用いられている検査は「2次元心エコー検査」と呼ばれるもので、エコー画像をコンピュータで解析して心臓をスライスしたような2次元画像を作り、画像を重ねることで立体構造を構成することができる。
「心エコーは、得られる情報量が多く、受診者の苦痛も少ない優れた検査です」と畑院長は話す。具体的には、心臓の筋肉(心筋)が正常に動いているか、1回の拍動で心臓が送り出す血液の量はどれくらいか、心臓の大きさや壁の厚さ、血液の逆流を防止する弁の状態に異常はないか――などを確認することができる。
プローブ(超音波を送信・受診する装置)を胸に当てるため、恥ずかしいという女性もいるというが、女性が受診者の場合は女性の臨床検査技師が担当することが多い。
