歯を磨くときに少し出血する。疲れると歯肉が腫れる。歯がぐらつく……。このような状態を放置していないだろうか。これらは「歯周病」のサインだ。歯周病は、歯を失う最大の要因であるだけでなく、糖尿病や認知症、動脈硬化など健康寿命を縮める病気と強い関連があることが近年明らかになってきた。歯周病の怖さは、かなり状態が悪化するまでほぼ無症状の「沈黙の疾患」であることだ。一生涯、元気に噛(か)み、話すためにも歯の健康を維持したいもの。この特集では、歯周病がいかに厄介な病気であるか、予防のためにはどうすればいいかについて、国立長寿医療研究センター口腔疾患研究部部長の松下健二さんに聞く。