電動歯ブラシは有効? 洗口剤は善玉菌も減らす? 歯磨きの疑問を一挙解消!
第4回 すでに出血が多いとき、洗口剤への疑問などを一気に解決
柳本操=ライター
本特集では、歯周病がいかに全身の健康度を下げていくかや、歯周病を改善していくために日々心がけたい歯磨きのポイントについてお伝えしてきたが、いざ実践しようとすると「電動歯ブラシは使ってもいいのか?」「洗口剤は、口の中の有用な菌まで殺してしまうのでは?」など、さまざまな疑問が浮かんでくるだろう。そこで最終回の今回は、国立長寿医療研究センター口腔疾患研究部部長の松下健二さんに、歯周病や歯のケアに関する素朴な疑問に一気に答えていただいた。
『歯磨きを変えれば、健康寿命が延びる!』 特集の内容
- 第1回歯磨き時の出血は「体中に菌が回っている」危険なサイン
- 第2回歯周病菌は口から全身へ 認知症・糖尿病・動脈硬化を悪化させる
- 第3回「朝食前に洗口剤」「歯磨き剤は成分で選ぶ」健康寿命を延ばす歯磨きの新常識
- 第4回電動歯ブラシは有効? 洗口剤は善玉菌も減らす? 歯磨きの疑問を一挙解消!←今回
状態がかなり悪くなるまで「無症状」である歯周病。この特集では、歯周病により歯肉がもろくなると、血管の中に歯周病菌が入り込んで体中を巡る「菌血症」を起こしやすくなること(第1回)、歯周病は糖尿病やアルツハイマー病、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などさまざまな病気との関連が注目されていること(第2回)をお伝えした。
さらに、口の中に歯周病菌が少ない状態をキープするためには、「洗口剤うがい」を行うことが重要であること、そして、歯周病を予防するには、歯周病菌のすみかであるプラーク(歯垢)をこまめに除去する歯磨きが必須なことも解説した(第3回)。
繰り返しになるが、以下の人は、歯周病が知らず知らずのうちに進行している可能性が高いため、今は痛みなどがなくても早めに歯科を受診し、歯磨きの方法を見直そう。
歯磨き時に出血がある
歯がぐらぐらする
口臭が気になる
歯肉がむずがゆい、痛い、赤く腫れている
硬いものが噛みにくくなってきた
歯が長くなったような気がする
前歯が出っ歯になった。歯と歯の間に隙間ができた。食べ物が挟まる
歯についての新たな情報を知ると、いろいろと素朴な疑問が湧いてくる人もいるだろう。
例えば、「洗口剤は、口の中の有用な菌まで殺してしまうのではないか?」「歯磨きのたびに出血があるけれど、歯肉を傷つけない方法はあるのか」、あるいは、「電動歯ブラシは使ってもいいのか?」「入れ歯やブリッジを入れているが、歯周病リスクは高いのか?」「子どもは歯周病の心配はしなくていいのか?」「認知症や糖尿病以外の病気と歯周病についてはどんなことが分かっているか?」といったような疑問だ。
そんな疑問に対して、国立長寿医療研究センター口腔疾患研究部部長の松下健二さんに答えていただいた。ぜひ、日々のケアに生かしてほしい。
Q1
歯肉からの出血が多い場合は、どんなケアをすべき?
A
出血が多い場合は、デンタルフロスや歯間ブラシの使用を見合わせましょう
従来は、「歯磨きをしたときに出血しても、気にせずに磨けば歯肉が丈夫になる」と歯科医も指導してきました。しかし、この特集の中で説明してきたように、出血を放置したままでは、菌血症のリスクがあります。これまでの歯磨きで歯肉から出血する人は、第3回でお伝えしたような、菌血症のリスクを下げる歯磨きを実践してみましょう。具体的には次のような点がポイントとなります。