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Q&Aで学ぶ新型コロナワクチン・治療薬

「ワクチン3回目の効果は?」「子どもへの接種、どうすべき?」 医師が解説

新型コロナの新たな疑問に日米欧の医師らが総力回答(後編)

 倉沢正樹=日経メディカル元編集長

新型コロナの治療薬にはどんなものがある?

Q.11

病院で使われている新型コロナの治療薬にはどんなものがありますか。

A. 日本の病院で使われている新型コロナウイルス感染症の主な治療薬としては、レムデシビル、抗体カクテル療法薬「カシリビマブ+イムデビマブ」、ソトロビマブ、デキサメタゾン、バリシチニブがあります。レムデシビル、カシリビマブ、イムデビマブ、ソトロビマブは点滴薬、デキサメタゾンは経口薬と点滴薬、バリシチニブは経口薬です。

 レムデシビルは肺炎が起きている重症の患者さんが対象の薬です。新型コロナウイルスが自分の複製を作って増えるときに必要な酵素「RNAポリメラーゼ」の働きを阻害して増殖を抑制します。

 カシリビマブ+イムデビマブおよびソトロビマブは、まだ酸素投与は必要ないものの、重症化のリスクがある患者さんが対象の薬です。カシリビマブ+イムデビマブは濃厚接触者の発症予防、無症状の感染者の発症予防を目的とした予防投与も認められています。いずれも抗体薬で、新型コロナウイルスの表面にあるスパイクたんぱく質に結合して、病原性を抑える効果があります。

 デキサメタゾンとバリシチニブには、新型コロナウイルスを攻撃したり増殖を抑制したりする効果はありません。新型コロナウイルスに感染した患者さん自身の免疫細胞が、ウイルスを攻撃しようとして暴走し、自分自身の臓器(肺など)を壊してしまう「行き過ぎた炎症」を抑える薬です。どちらも重症度の高い患者さん向けの薬です。

Q.12

近々登場するといわれている自宅で飲める新型コロナの薬について教えてください。

A. 現在、病院で使われている薬は軽症患者さん向けも含めてほとんどが点滴薬です。そのことが治療の選択肢を狭め、入院患者増加による病床不足の一因にもなってきました。患者さんが自宅で服用して重症化を予防できる飲み薬が登場すれば、状況が改善すると考えられます。特に期待されるのは、オミクロン株のようなワクチンの効果の減少が示唆される新型コロナ変異株が登場した場合でも、治療薬は効果がある可能性が高いことです。

 そのために多くの製薬会社が軽症者向けの経口薬の開発を進めています。現在、有望とみられている新薬候補は、米国メルク(MSD)の「モルヌピラビル(molnupiravir)」、米国ファイザーの「パクスロビド(Paxlovid)」、塩野義製薬の「S-217622」などです。最も先行しているのはメルクのモルヌピラビルで、英国がすでに承認し、米国食品医薬品局(FDA)が審査を終え米国でも承認間近です。日本でも近く承認されるとみられます。

 モルヌピラビルは、新型コロナウイルスがヒトの体内で増えるときに必要な酵素「RNAポリメラーゼ」を阻害する作用によって重症化を防ぐとされています。第3相臨床試験(最終段階の臨床試験)の解析によると、5日間、1日2回モルヌピラビルを投与した新型コロナ感染者のグループでは、有効成分の含まれない偽物の薬(プラセボ)を投与したグループに比べて、入院または死亡が30%抑えられました。

 ファイザーと塩野義製薬が開発中の新薬候補はいずれも「プロテアーゼ阻害薬」です。プロテアーゼもRNAポリメラーゼと同様、新型コロナウイルスがヒトの体内で増えるときに必要な酵素です。これの働きを抑制することでウイルスの増殖に歯止めをかけ、重症化を防ぐ狙いです。ファイザーは2021年11月に、重症化リスクのある新型コロナ感染症患者を対象とした第2/3相臨床試験の中間解析を発表しました。それによると発症から3日以内にパクスロビドの投与を受けた患者さんのグループは、プラセボの投与を受けた患者さんのグループと比較して、新型コロナ関連の入院または死亡が89%減少したとのことです。塩野義製薬の候補は第2/3相臨床試験中です。

 なお、米国のベンチャー企業アテア・ファーマシューティカルズとスイスの製薬会社ロシュが共同で開発中の新薬候補「AT-527」については、有望な新薬候補の1つとされていましたが、第2相臨床試験で軽・中等症の患者に対する有効性が確認できなかったと発表されています。

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