糖化は感染症の重症化や脳の老化にも関わる リスクが高い人の特徴は?
第2回 新型コロナ感染症やアルツハイマー病にも影響を与える「AGEs」
柳本操=ライター
体内で余った糖がたんぱく質と結びつくことによって起きる「糖化」は、肌やしわなど見た目の老化を進め、臓器や代謝など、全身に悪影響を及ぼすことが分かってきた。糖化研究の第一人者である昭和大学医学部教授の山岸昌一さんに、新型コロナウイルスで注目される感染症と糖化の関係や、アルツハイマー病のリスク、そして糖化が進みやすい人の特徴などについて聞いた。
『老化の元凶「糖化」の防ぎ方』 特集の内容
- 第1回老化を加速する「糖化」の恐怖 生命活動を担う重要なたんぱく質も餌食に
- 第2回糖化は感染症の重症化や脳の老化にも関わる リスクが高い人の特徴は?←今回
- 第3回知っておきたい糖化を進める食品、抑える食品、そして「NGな食べ方」

「糖化」は新型コロナの重症化リスクも高める!?
前回、老化の元凶の1つである「糖化」のメカニズムについて、糖化研究の第一人者である昭和大学医学部教授の山岸昌一さんに解説していただいた。
体内で糖が過剰になると、余った糖がたんぱく質にくっついて「糖化反応」が起こり、その後、時間をかけてAGEs(終末糖化産物:Advanced Glycation End Products、エージーイーズ)になっていく。そしてこのAGEsが蓄積することで、皮膚や血管、内臓、関節、骨など全身に悪影響が及び、老化が進んでしまう。
しかも、このAGEsは、新型コロナウイルスなどの感染症のリスクや、アルツハイマー病などによる脳の病気とも関係しているという。一体どういうことだろうか。引き続き山岸さんに聞いていこう。
前回、AGEsの量は「血糖値の高さ」と「その持続時間」の掛け算で決まるというお話が印象的でした。
山岸昌一さん(以下、山岸) 糖尿病やその予備軍の人でも、体内でAGEsの蓄積が進んでいて、その影響から逃れられません。糖化を防ぐという観点からは、食事など生活習慣で血糖値の上昇を抑えることが大切です。
新型コロナウイルス感染症では、糖尿病の人は重症化のリスクが高くなるといわれています。また、ほかにも糖尿病によってアルツハイマー型認知症のリスクも高くなると聞いたことがあります(*1)。これらにもAGEsが関係しているのでしょうか?
山岸 その通りです。まずは感染症の重症化リスク、つまりAGEsが免疫にどのような影響を与えるかというお話をしましょう。