心臓を守るには、塩分を減らし、いびきをなくし、ふくらはぎを鍛える!
第3回 血圧、血糖値を正常に保った上で、気をつけたい4つの生活習慣
田村知子=ライター
生きている限り休みなく働き続ける心臓を健康に保ち続けるためには、どうすればいいのか。本特集では、がんにも匹敵するほど怖い病気「心不全」の知られざる実態や、早期発見のポイント、「息切れ・むくみ・だるさ」の3大症状の見極め方などを解説してきた。第3回は「心臓を守る生活習慣」をテーマに、心不全の予防や悪化防止に有効な日常生活での対策を紹介する。
『心臓を守る―忍び寄る「隠れ心不全」』 特集の内容
- 第1回高血圧があれば既に「心不全」は始まっている
- 第2回これって心臓の異常? 気になる「息切れ・むくみ・だるさ」の正体
- 第3回心臓を守るには、塩分を減らし、いびきをなくし、ふくらはぎを鍛える!←今回
「心臓を守る」生活習慣のポイントとは
1日に約10万回も収縮と拡張を繰り返し、生きている限り休みなく働き続ける心臓。この大切な臓器に徐々に異常が生じ、血液を送り出す力(ポンプ機能)が落ちてくると、息切れやむくみ、だるさといった症状が出現し、やがて命の危険にさらされることになる。本特集では、がんにも匹敵するほど怖い病気「心不全」の知られざる実態や、早期発見のポイント、「息切れ・むくみ・だるさ」の3大症状の見極め方などを解説してきた。
心不全は、「心臓の機能が徐々に落ち、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなっていき生命を縮めていく病気」だ。第1回でお伝えした通り、心不全には4つのステージがあり、高血圧や糖尿病などの生活習慣病があれば、それだけで最初の「ステージA」に該当する。日本の成人の2人に1人が高血圧と言われている今、それだけの人が既に心不全の入り口に立っていることになるわけだ。

血圧が高いまま放置していると、動脈硬化が進んで狭心症や心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まるだけでなく、症状はないまま心臓の筋肉(心筋)が徐々に厚くなる心肥大が起こり、「ステージB」へと進行していく。心不全は、入院を要するほど重症になってしまうと、症状は改善しても心臓の機能は元に戻らず、入院を繰り返しながら徐々に悪化していってしまう。そうした事態を避けるためには、心臓に異常が現れる「ステージB」や、息切れやむくみなどの自覚症状が現れる「ステージC」になる前の段階で、なんとか進行を食い止めなければならない。
では具体的に、どうすればいいのだろうか。
「まず何よりも、ステージAに該当する高血圧や糖尿病などを予防し、血圧や血糖値を正常範囲内にコントロールすることが重要です」。心不全の診療経験が豊富な、かわぐち心臓呼吸器病院副院長・循環器内科部長の佐藤直樹さんは、そう話す。既に治療を受けている場合は、処方された薬をきちんと服用し、血圧や血糖値が目標とする値まできちんと下がった状態を維持できているか、医師任せにせず、自分自身でも常に気に掛けるようにしよう。
高血圧や糖尿病の予防や改善のために推奨されている生活習慣には、1日3食の栄養バランスの良い食事、適度な運動、禁煙・節酒、十分な睡眠と休息などがある。それらに加え、「心臓を守る」という観点で特に大切になってくるのが、以下のポイントだと佐藤さんは話す。
「心臓を守る」ために大切な生活習慣のポイント
塩分と水分の適量摂取
高血圧や心臓の病気がある場合、食塩は1日6g未満を目標に。水分は積極的に制限する必要はない(心不全があっても1日1リットル程度は飲んでも問題ない)が、かかりつけ医に確認を
「第二の心臓」と呼ばれるふくらはぎの筋肉量の維持
ウォーキングなどを習慣にしていても、歩き方によっては筋肉の保持にはつながっていないことも
睡眠時無呼吸症候群のリスクを確認
いびきや睡眠中の呼吸停止があれば、医療機関を受診
急激な温度変化を避ける
急激な温度変化は、血圧の変動により心臓に大きな負荷をかける
普段、健康に良かれと思ってしていることが、心臓にとっては逆効果になってしまったり、効果的ではなかったりすることもあるため、正しい知識を仕入れ、無理なく生活習慣として身に付けていくことが大切だ。そのためのポイントを、佐藤さんに指南していただこう。